米IBM,オランダのRoyal Philips Electronics,オランダの官民共同研究機関であるTelematica Instituutは現地時間9月10日,家庭における安全な広帯域デジタル・コンテンツ配信に関して協力体制を敷くことを明らかにした。「TIPSCI(Telematica Instituut, IBM, Philips Secure Content Initiative)」と呼ぶプロジェクトのもと,音楽,ビデオ,ゲームなど,消費者向けデジタル・コンテンツの安全かつ簡単な配信ソリューションを開発する。
 
 同プロジェクトで取り組む課題として,家庭におけるコンテンツのセキュリティ確保,デジタル著作権管理(DRM),サービス品質,家庭内ネットワークの高速化と管理などが含まれる。

 「家庭内で使用するオーディオ,ビデオ,WWWベースのデジタル・コンテンツが確実に安全であるという保証を提供できれば,デジタル・メディア分野全体の投資を活性化できる」(IBM社IBM Software事業Content Management部門担当副社長のBrett MacIntyre氏)

 Philips社Philips Research事業担当副社長のFred Boekhorst氏は,「家庭内ネットワークでは今後,コンテンツを共有するための相互接続した電子機器が多数利用されるようになる。デバイス間におけるシームレスなコンテンツのやり取りや,DRMソリューションに関する研究は,安全で信頼性の高いソリューションをユーザーに提供するうえで不可欠だ」と説明した。

 同プロジェクトでは,Philips社がDRMソリューションのほか,広帯域ゲートウエイ,セットトップ・ボックス,高品質のオーディオおよびビデオ向けデバイスといった民生電子機器と家庭内ネットワーク向けソリューションを担当する。

 IBM社は,ITネットワーキング,サービス・プロバイダ向けインフラ,コンテンツ管理ソフトウエア,コンピューティング・アプリケーション・ソリューション,同社のデジタル音楽配信システムEMMS(Electronic Media Management System)を利用したDRMソフトウエアなどを提供する。

 Telematica Instituutはコンテンツ技術設計やカスタム化したサービスおよびビジネス・モデルなどに関して,アプリケーションに基づいた科学的な研究を行う。

 3社は2003年12月までに,コンテンツ管理および配信システムを連携させた,消費者向けサービス・プロバイダのためのデモ用プラットフォームを開発する予定である。

◎関連記事
「家庭内ネットワークの主流はパソコンとプリンタ,エンタテインメント機器も徐々に普及」,と米調査
「家庭内ネットワーク市場は成熟期,今後4年間で普及率は10倍に」---。米ベライゾンが予測
「米国でブロードバンド対応有料サービスの潜在需要は高く,市場規模は250億ドル」---米調査会社
「家庭内ネットワークが急増,デジタル音楽の共有などが要因」と米In-Statと米In-Stat
「米国の持ち家世帯の42%は家庭のインターネット化に意欲的」と米調査
米IBMがデジタル・メディア管理/配信の枠組み「Digital MediaFactory」を発表
蘭フィリップスと伊仏合弁のSTマイクロがデジタル・テレビとSTB向けMHP技術開発で提携
蘭フィリップスが市場向けにHD PCビデオ・コーデックを投入

[発表資料へ]