オランダのRoyal Philips Electronicsとソニー(本社:東京都品川区)は近距離無線通信技術「Near Field Communication(NFC)」を共同で開発することを9月5日,明らかにした。「NFC対応機器間の近距離通信ネットワークを実現し,消費者によるデータやサービスへの無線接続の向上を図る」(両社)としている。

 NFCは13.56MHzで動作する。携帯電話,デジタルカメラ,PDA,パソコン,ゲーム機,パソコン周辺機器といったNFC対応機器どうしが,最大20cmの範囲内であらゆる種類のデータをやりとりできるようにする。伝送速度は最大212kbps。Philips社の「Mifare」とソニーの「FeliCa」という両社の非接触型スマートカード技術に対応する。

 Philips社のMifare技術は世界各地の交通機関をはじめ,米Visaなどの金融分野で利用されている。一方ソニーのFeliCa技術は,中国の香港やシンセン,シンガポール,日本などで,主に交通機関や金融分野が採用しているという。

 両社の目的は,電子鍵やスマートカード読み取り機と効果的に組み合わせられるNFC対応機器のオープンなインフラを築くこと。クレジット・カードなどの決済,チケット発行,ゲームなどのオンライン・エンターテインメントが,スマートカードまたは機器を近づけるだけで利用できる便利な手段を提供する。

 Philips社とソニーは,民生用機器,パソコン,自動車やその他の業界でも組み込めるオープンな標準規格として,NFC技術の普及促進を図る。「コンテンツおよびネットワーク・サービス・プロバイダ向けにも新たな用途を開拓する」(両社)

 ソニー執行役員常務の野副正行氏は,「Philips社と協力し,NFCの幅広い用途を研究する。他のエレクトロニクス企業やサービス企業によるNFC技術へのサポートを期待している」と述べた。

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