米Microsoftが米国時間9月3日に,無償の電子財布サービス「MSN Wallet」を発表した。オンライン・ショッピングで注文する際の個人情報の自動入力といった機能を備え,オンライン販売店での安定した購入体験を提供するとしている。

 「消費者は電子メール送信と同じようにシンプルなオンライン・ショッピングを望んでいる」(Microsoft社MSN Shopping部門ジェネラル・マネージャのJim Barr氏)

 MSN Walletは電子商取引サイトのネットワークを持つ米Ritz InteractiveのWWWサイトでサービスを開始する。Ritz社のWWWサイトには,RitzCamera.com,WolfCamera.com,BoatersWorld.comなどが含まれる。またMicrosoft社によると,米Kmart,米OfficeMax,Blue Nile社,ベルギーのGodiva Chocolatier,米Fossil,米Sports Authority,Fogdog社,米Nordstromなどのオンライン販売サイトがMSN Walletを導入する予定だという。

 すでに「Passport」のアカウントを所有している「Hotmail」やMSNサービスのユーザーは,Passportアカウントを使ってMSN Walletに登録できる。それ以外のユーザーはまず無償のPassportアカウントを取得する必要がある。

 MSN Walletは決済情報やアドレス情報を電子的に暗号化し,サーバーのデータベースに保存する。サーバーは,アクセス制限されている施設内に置く。その他にもデータ・フィルタリング機能や標準規格ベースの暗号化手法Triple DESを用いるなど,「セキュリティの強化を図っている」(Microsoft社)。

 MSN Walletは英語版が利用可能。近いうちにドイツ語,フランス語,日本語,スペイン語などにも対応させる予定である。

 また,Microsoft社は「Passport Express Purchase」サービスを2003年3月で停止することを明らかにした。Passport Express Purchaseユーザーは,MSN Walletサービスに移行する場合,新たに登録をする必要がある。Passport Express Purchaseアカウントの情報は,サービス停止後にすべて破棄する。

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