ノルウェーのTANDBERG Televisionと米Microsoftは英国と米国で現地時間8月29日,Microsoft社の次世代マルチメディア技術「Windows Media 9シリーズ」に対応したブロードキャスト・ソリューションの提供で協力体制を敷くことを明らかにした。電気通信業界や映像放送業界を視野に入れる。

 TANDBERG社は,Windows Mediaに対応したハードウエア・ベースの組み込み向けリアルタイム・エンコーディング・プラットフォームを開発する。Windows Mediaのコーデック「Windows Media Audio and Video 9シリーズ」を基礎とする。

 またTANDBERG社とMicrosoft社は,エンジニアリング,販売,マーケティングなどでも協力する。両社による共同ソリューションは,9月13~17日にオランダのアムステルダムで開催される放送業界の展示会「IBC2002」で初めてのデモを行う予定である。

 「放送業界では,高画質・高音質の映像を低データ・レートで配信するプラットフォームの需要が著しく高まっている。バンド幅のコストを節約し,より多くの視聴者をカバーできるからである。Windows Media Video 9 シリーズと我が社の製品を組み合わせることにより,放送品質のビデオを1Mbps速度で配信することができる」(TANDBERG社CEOのGwyn Pugh氏)

 アナログからデジタルへの移行が進むにつれ,放送および広帯域業界は「最も優れた品質を最も低いコストで」という共通の目標へ駆り立てられている。TANDBERG社とMicrosoft社は,「通信事業者がWindows Media 9シリーズを使って,IPベースの放送やビデオ・オンデマンド(VOD)ネットワークを展開したり,既存のDVBあるいはMPEGベースの放送ネットワークを強化して高画質映像を低データ・レートで配信できるよう支援する」(両社)。

 TANDBERG社は過去半年にわたってWindows Media Audio and Video 9シリーズをテストし,性能を検証した。テストでは,低~中ビット・レートでほとんどの形式のコンテンツをMPEG-2あるいはMPEG-4より高い品質で配信できたという。

 Windows Media 9シリーズはMPEG-2トランスポートとIPベースのトランスポートを介した配信に対応する。リアルタイムの圧縮オーディオおよびビデオを放送品質並みの高解像度で,家庭(ケーブル,衛星,地上波),広帯域(xDSL,FTTH),企業向けTV(施設網)に直接配信できる。2002年9月4日にパブリック・ベータ版をリリースする予定である。

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