米Hewlett-Packard(HP)と米IBMが,ストレージ・ネットワーク管理用のAPIとコマンド・ライン・インタフェース(CLI)をクロスライセンスすることで合意に達した。両社が米国時間8月20日に明らかにしたもの。顧客は,オープンなストレージ・ネットワークをより簡単に導入できるようになるという。

 両社は,ストレージ・アレイ用の管理ソリューションを開発/導入する際に使うAPIとCLIを互いにライセンス供与する。これにより,HP社のストレージ管理ソフトウエア「OpenView」からIBM社のストレージ・サーバー「TotalStorage Enterprise Storage Server」(コード名は「Shark」)の管理や,IBM社のストレージ管理ソフトウエアでHP社のストレージ・システム「StorageWorks Enterprise Virtual Array(EVA)」「Enterprise Modular Array(EMA)」の管理を行う,といったことが可能になる。

 「この技術交換によって得られる成果を実装することで,拡大中のエンタプライズ・ネットワーク対応ストレージ環境において,大きな柔軟性,サービス・レベルおよび運用効率の向上がもたらされる」(両社)

 現在のストレージ・システムの問題について,IBM社ストレージ・システム・グループCTOのBrian Truskowski氏は,「現在多種多様な機種が存在する環境が拡大するなか,顧客が最も懸念していることの一つは,相互接続性と運用性能の問題である」と説明する。「HP社と当社の合意は,両社が協力して現状の問題の解決に取り組んでいることを顧客に示すものだ」(同氏)

 なお,相互接続性の確立を目的とする両社のこの取り組みは,Common Information Model(CIM)およびBluefinをベースとするストレージ・ネットワーク管理向け標準プラットフォームを採用するまでの暫定的な対応という。Bluefinは,ストレージ製品の業界団体Storage Networking Industry Association(SNIA)が中心となって策定を進めている標準仕様。ディスク・アレイ,スイッチ,ホスト・アダプタ,サーバーなど,Storage Area Network(SAN)内のすべての機器で使える共通管理インタフェースの提供を目的とする。

 HP社とIBM社は,Bluefin仕様の策定作業に積極的に参加してきたという。「将来提供されるBluefin標準により,ITマネージャは単一のSANに複数ベンダーの製品を接続し,1種類のツール・セットですべての装置を管理できるようになるだろう」(両社)

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