米In-Stat/MDRが米国時間8月20日に,米国のIP VPNサービス市場に関して調査した結果を発表した。それによると,IP VPNサービスの売上高は2001年から2006年の期間,年平均成長率(CAGR)33%で拡大する。

 この調査は1000人以上の従業員を抱える米国の大企業を対象に行ったもの。調査対象となった企業の90%が,「現在IP VPNサービスを構築している」,または「今後2年以内に構築を計画している」と回答した。

 「IP VPNサービスはネットワーキング・サービスの中で最も成長している」(In-Stat/MDR社上級アナリストのHenry Goldberg氏)。同氏は成長の理由として,Frame Relay/ATMサービスのユーザーがIP VPNサービスに移行したこと,セキュリティ・サービスを社外に委託する傾向が高まったこと,インターネット経由の通信におけるセキュリティへの関心が強くなったこと,経済成長が見込まれることなどを挙げている。

 サービス・プロバイダが解決しなければならない最大の問題の一つは,エンド・ユーザーが社外のIP VPNサービスをあまり利用したがらないこと。調査対象となったエンド・ユーザー企業436社の91%が社内のIP VPNを利用している。セキュリティ管理の信頼度が高いというのが主な理由だ。

 その他の主要な調査結果は以下の通り。

・現在IP VPNサービスを利用している,または利用する計画がある企業の74%は,ネットワーク・ベースのサービスをすでに利用しているか,サービスの利用に関心があると回答した。VPNサービスにファイアーウォールやウイルス対策,ネットワーク侵入検知など他のセキュリティ・サービスを組み合わせたサービスなどへの関心が高い。

・企業のITスタッフが不景気によりコスト削減を迫られているが,IP VPNサービスを導入することにより,複数のアクセス回線を持つ異なるネットワークを一つに統合することができる。

・大手IP VPNサービス・プロバイダのほぼ全てが,一つ以上のネットワーク・ベースのVPNサービスを提供,または提供する予定がある。

・VPNサービスを提供するための障壁が低くなっている。各社が独自のネットワーク設備を持たなくとも,サービスを提供できるという革新的なビジネス・モデルを展開しているためだ。

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