米Sun Microsystemsが米国時間8月20日に,エントリ・レベルの新型64ビットUNIXワークステーション「Sun Blade 150」を発表した。プロセサには「UltraSPARC IIi」を搭載し,Sun社の既存のエントリ・レベル・ワークステーションに比べ最大76%性能が向上しているという。「米Hewlett-Packard(HP)の同レベルのシステムに比べ,価格は半分以下」(Sun社)

 Sun社ボリューム・システム製品担当上級副社長のNeil Knox氏は,「1年か2年で使い物にならなくなるパソコンのどこに価値があるのだろうか? 当社はこれまでワークステーション『Ultra 5』と『Ultra 10』を合わせて100万台以上販売し,顧客が何年ものあいだ頼りにできる性能を提供してきた」と述べる。

 「そうした顧客がより強力な性能やグラフィックス能力を必要とする際,Sun Blade 150が最適なアップグレード手段となる。スムーズな移行を可能とする完全バイナリ互換や,予算が厳しい状況に適合する極めて低い価格を実現する」(同氏)

 Sun Blade 150には,グラフィックス・アクセラレータ「XVR-500」を搭載できる。XVR-500は,16Mバイトのテクスチャ・マッピング処理用メモリー,32Mバイトのフレーム・バッファ・メモリー,24ビット・アーキテクチャよりも250倍高精度の3次元(3D)グラフィックスを表現可能な32ビットZバッファを備え,より高解像度の3D表示に対応する。

 またコプロセサ・ボード「Sun PCi II Pro」を使うと,Sun Blade 150上で,Windowsプラットフォームなど複数のOSを同時に動作させることも可能。「クロス・プラットフォーム・ソフトウエア開発において,システムのオーバヘッドを削減しつつ,より高速で生産性の高い環境を構築できる」(同社)

 Sun Blade 150の主な特徴は以下の通り。

・UltraSPARC IIiプロセサ:動作周波数550MHzまたは650MHz。512KバイトのL2キャッシュを内蔵する(「UltraSPARC IIe」プロセサの2倍の容量)。

・大容量メモリー:最大2Gバイトのメモリーを搭載可能。

・内蔵ストレージの容量拡大:最大2台の40Gバイトのハード・ディスク装置を内蔵可能。同ハードディスクのインタフェースはEIDE,ディスク回転速度は7200rpm。

・インタフェース:USBポート×4,IEEE 1394ポート×2。

・内蔵スマート・カード・リーダー:ログイン時やシステムに対するアクセス時の認証に利用可能。

 Sun Blade 150をSun Blade 100と比較すると,内蔵L2キャッシュ容量が2倍,3Dグラフィックス性能が最大2倍,ストレージ容量が2倍という。同社が明らかにしているSun Blade 150の主なベンチマーク・テスト結果は以下の通り。

・SPECint2000を使って評価した場合,Sun Blade 150がSun Blade 100より41%性能が高い。

・SPECfp2000では,Sun Blade 150がSun Blade 100より52%性能が高い。

・技術コンピューティング・アプリケーションABAQUSでは,Sun Blade 150がSun Blade 100より63%性能が高い。

・SPECintでHP社のエントリ・レベル・ワークステーション「B2600 」と比較すると,Sun Blade 150の方が17%優れた価格対性能比を示す。

・SPECfpでは,Sun Blade 150の方がB2600より19%価格対性能比が高い。

 Sun Blade 150は,同日より販売する。550MHz版UltraSPARC IIi,「Solaris 8 Operating Environment」,512Kバイト内蔵L2キャッシュ,128MバイトSDRAM,「PGX64」オンボード2DグラフィックスLSI,40Gバイトのハード・ディスク装置という構成の場合,米国における販売価格は1395ドル。

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