米In-Stat/MDRが米国時間8月19日に,無線LAN市場に関する調査結果を発表した。それによると,2002年第2四半期に無線LAN装置の出荷台数は全体で15%増加し,活気のないネットワーキング・テクノロジ業界に活力をもたらした。

 一方,同四半期におけるエンド・ユーザー向け無線LAN装置の総売上高は,出荷台数の伸びに比例せず,前期比1%減で横ばいとなった。出荷台数の増加が売上高の成長を大きく上回ったことは,802.11b装置市場の急成長を表している。

 「売上高のわずかなマイナス成長が無線LAN装置メーカー全般を悩ませてはいるものの,価格低下によって,802.11bの出荷台数の増加が進んだ。また,高速の新製品を短期間で発表するメーカーが増えた。ローエンド向け装置のメーカーでさえ,無線LAN製品の差異化を図っている。この市場にまだ勢いがあることを示すたいへん良い兆候だ」と,In-Stat/MDR社上級アナリストのGemma Paulo氏は分析する。
 
 その他の主な調査結果は次の通り。

 ・ネットワーキング製品大手の米Cisco Systemsは,売上高で引き続き市場トップとなった。一方,出荷台数では,小規模事業および家庭向け製品に特化した米Linksysが首位の座を占めた。

 ・802.11a市場は米Proxim,米Intel,米Netgear, 米D-Link, 米SMC,米Actiontecといった企業の出荷台数および売上高が伸びたため,引き続き健全な成長をみせた。同市場に新規参入したLinksys社は,2002年第2四半期後半に出荷を開始したにもかかわらず,出荷台数で5%のシェアを獲得した。

 ・家庭向け市場は出荷台数が20%増となり,引き続き無線LAN市場全体の成長をけん引した。低価格の無線ブロードバンド・ゲートウエイ製品の人気が市場成長に拍車をかけた。Linksys社,D-Link社,米Buffalo,米Apple,Netgear社は,家庭/SOHO市場で好調な業績をあげた。

 ・アジア太平洋地域の無線LAN市場は高成長を続けている。特に台湾,韓国,香港での成長はめざましかった。D-Link社は台湾とアジア太平洋地域全般で顕著な成長を記録した。

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