「自動車でBluetoothとWi-Fi(802.11)無線技術を使うことによって,車内外における自動車環境に大きく変化をもたらす」。米Allied Business Intelligence(ABI)は,自動車と無線技術に関する調査結果を米国時間8月8日に発表した。

 将来のWi-FiとBluetoothをベースとした自動車アプリケーションにより,シリコン・ベンダからハードウエア製造業者,自動車メーカー,ガソリン小売業者まで業界すべての局面に新しいチャンスが提供される。

 米Chryslerが2002年後半に出荷を予定しているBluetoothハンズフリー・カー・キット「UConnect」が量産車に対する初のBluetooth技術導入となる。テレフォニが自動車業界におけるBluetooth技術のけん引力となる一方で,米連邦通信委員会(FCC)によるDSRC(狭域通信)への5.850~5.925GHz帯域割り当てがWi-Fiをけん引する。これにより,料金収集,mコマース,エンターテイメントなど,相互運用性を持つWi-Fiベースの自動車サービスが促進される。しかし,高いシリコンのコスト,電力消費量,沿道のインフラ欠如など克服しなければならない障害が存在するという。

 自動車が製造工程で802.11ハードウエアを搭載するようになるには,あと2年ほどかかる可能性があるが,Bluetooth対応機器は,2003年の初めに米国,日本,欧州のいくつかのモデルで組み込まれる予定。報告によれば,新しい自動車のおよそ20%が2007年までにBluetoothハードウエアが組み込まれ,約12%が802.11ハードウエアを組み込むようになると予測している。

 「ハンズフリーのテレフォニは始まりに過ぎない。自動車環境へのBluetoothと802.11の導入により多数の高度な自動車アプリケーションが実現される」(同社のシニア・アナリストのFrank Viquez氏)。

 同氏によれば,これらサービスには,リモートの自動車診断,テレマティック・サービス,高度な自動車安全システム,車へのオーディオとビデオのリモート・ダウンロードなどが含まれるという。

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