米IDCが米国時間8月7日に,e-businessの支出に関する調査結果を発表した。それによると,2001年は世界におけるIT支出が引き続き横ばいとなり,米国では減少した。しかし一方で,e-business支出は20%以上も増加した。企業は最優先にe-businessへ投資するため,支出額が今後も伸びるとみる。

 この調査は,10カ国の金融,不動産,保険,製造,小売/卸売分野で,25人以上の従業員を抱える企業2000社あまりを対象に実施したもの。調査の対象となった企業は,IT支出の12%をWWWベースのプロジェクトにあてていると回答している。この割合は,ドットコム企業崩壊前の約2倍だ。

 IDC最高調査責任者のJohn Gantz氏は,「ドットコム崩壊は構想が貧弱な企業を数百社つぶしただけだ。実際のところ,真の“新経済”を導く助けとなった。新経済では,世界中の企業や学校,政府機関が通常の業務にインターネット技術を着実に統合している」と指摘する。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・回答企業の50%以上が,WWWプロジェクトへの投資が顧客やサプライヤとの関係改善に重要もしくはとても重要だと答えた。

・回答企業の42%が,コスト削減のためe-businessに投資している。また,顧客からの要請でe-businessに投資したという割合は42%だった。

・回答企業の40%は,WWWプロジェクトが顧客サービスの改善に重要な影響を与えたと感じている。

 全体的にみて,IDCはトランザクションの多いWWWサイトが急増すると予測している。というのも,企業は商取引エンジンの強化や,サプライ・チェーンの自動化,顧客サービス・システムとの統合を図っているためだ。

 「e-businessは企業にとって,セキュリティと並んで最優先投資対象の一つとなっている。企業は,e-businessが不可欠のものであるということを理解するのに十分な業務経験を積んでいる。e-businessはコストを削減し,売上を伸ばすものだ」(同氏)

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