米AT&Tが米国時間8月7日に,同社従業員のテレワークに関する調査結果を発表した。それによると,同社では2001年,テレワークの生産性が約10%向上したという。またテレワークの障壁は,相変わらず家庭での高速データ接続が十分普及していないことだった。

 この調査は,自宅勤務するAT&T社社員1500人を対象に実施したもの。過去4年間で,マネージャ・クラスの従業員の約半数が最低1カ月に1回,自宅勤務している。週1回の自宅勤務は約25%,「バーチャル・オフィス」で終日勤務している従業員は約10%だった。また,回答者の約70%がテレワークによって生産性が向上したと答えた。

 生産性の向上を金額に換算すると,AT&T社は年間6500万ドル節約できたことになる。不動産コストや仕事の定着率を算入すると,テレワークで年間1億ドル以上のコストを削減している計算だ。

 また,テレワークは環境保護にも貢献している。「2001年は,自宅勤務者が1億マイル分通勤しなかったため,ガソリン500万ガロン(約1892万7058リットル)を節約し,数千トン分の大気汚染を防いだ」(AT&T社Environment, Health & Safety部門担当バイスプレジデントのBraden Allenby氏)

 一方で,時おり(1週間に1回以下)自宅勤務する従業員の数は減少している。その理由は生産性が上がらないことだ。昨年,自宅勤務をやめた従業員の36%が,家庭ではテクノロジが欠如しているために生産性が低いと回答した。

 自宅勤務をしない理由として従業員が挙げた六つの主要な理由のうち五つが,十分な通信速度の接続環境がないことに関連していた。会社がデータ接続費用を負担している従業員は,そうでない従業員より1カ月あたり2倍の日数を自宅勤務している。また,会社負担の高速接続通信を行っている従業員の方が,自宅勤務の時間が1日あたり約1時間多い。

 このため,従業員数百人が自宅勤務をメインに,または自宅勤務のみに移行しつつある。さらに,天災や人災時でも業務が遂行できるのもテレワークの利点だ。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・自宅勤務者の82%は,仕事と家庭の両立がテレワークの重要な利点だと回答した。

・自宅勤務者の約70%が現在の仕事と私生活に満足している。

・他社から転職オファーを受けた自宅勤務者の約56%が,オファーを受けるかどうかを決める要因にテレワークを含めたと回答した。
 
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