米サイベースが開発ツール「PowerBuilder 9.0」と企業ポータル・ソフト「Enterprise Portal 5.0」のベータ版を発表

井上望

2002.08.06

　米Sybaseが米国時間8月5日に，アプリケーション開発ツール「PowerBuilder 9.0」のベータ版と企業ポータル・ソフトウエア「Enterprise Portal（EP）5.0」のベータ版を発表した。

　PowerBuilder 9.0では，XML，JavaServer Pages（JSP），サードパーティ製アプリケーション・サーバーへの対応を強化した。「WWWやクライアント・サーバーのようなさまざまなアーキテクチャが混在する分散環境において，アプリケーションの構築や展開が可能になる」（Sybase社）という。

　同社が発表した，PowerBuilder 9.0の主な機能は以下の通り。

・XML DataWindow：XML文書から直接データを取り込める。さらに，完全にカスタム化したXML文書としてデータを保存することで，あらゆるデータ・ソースにデータを読み込ませることも可能。

・JSP：ウィザードやそのほかの開発ツールにより，JSP WWWアプリケーションの迅速な開発と展開が可能になる。

・PowerBuilder Native Interface：PowerBuilder仮想マシンから，C++アプリケーションの読み込みおよびメソッド呼び出しが行えるようになる。

・サードパーティ製アプリケーション・サーバー対応：ウィザードで米BEA SystemsのWebLogic，米IBMのWebSphereに対応しており，Enterprise JavaBeans（EJB）用のプロキシを生成し，そのプロキシを介してPowerBuilderからJ2EEサーバー内のEJBを呼び出す。

・ソース・コントロールの強化：大規模のPowerBuilderプロジェクトをこれまでより効率的に管理できるようにすることを狙う。米Rational SoftwareのClear Caseおよび英MERANTのPVCSとのより密な統合が可能となる。

・ORCAscriptユーティリティ：英語によく似たスクリプト言語を使ってORCA APIコマンドを実行できる。ソース・コード・コントロール機能を統合したことで，PowerBuilderのターゲットではソース・コントロールから直接再ビルドできるようになる。

　また，PowerBuilder 9.0のベータ版では以下のXML／Webサービス機能も用意する。

・Webサービス：SOAPとWeb Services Description Language（WSDL）ベースのWebサービスの，構築／発行／利用が可能になる。

・XMLサービス：XML文書の作成／読み込み／書き込みが可能になる。

・米Microsoftの.NET：Webサービスを介しMicrosoft社の新しい開発フレームワークに対応する。

　Sybase社は8月初めに，PowerBuilder 9.0のベータ版の公開テストを開始した。製品版の一般提供は，2003年前半を予定する。なお，製品の価格と構成については，発売時に明らかにするという。

　企業ポータル・ソフトウエア「Enterprise Portal（EP）5.0」のベータ版は，8月15日に利用可能とする。こちらでは，ポートレットの開発／展開／管理を迅速化するためのツール「Portal Studio」や，エンドユーザーがWWWコンテンツを取得するための「Portal Framework」といった新機能を用意する。セキュリティ機能も強化するという。同社では，「GUIを再設計したことで使い勝手と全体的な生産性が向上した」と説明する。

　また，Sybase社の「EAServer」，BEA社のWebLogic，IBM社のWebsphereなど複数のデータベースおよびアプリケーション・サーバーにも対応する。

　「EP 5.0を使うことで，企業のエンドユーザー，開発者，管理者は，ポートレットにかかわる作業を大幅に簡素化できる。その結果，当社はほかのポータル・ベンダーより低いTCOと高い生産性を提供できる」（Sybase社副社長兼eビジネス部門担当ジェネラル・マネージャのBilly Ho氏）