米Microsoftが米国時間8月5日に,独占禁止法違反訴訟に関する和解プログラムの修正を明らかにした。「和解案の一部条件を受け入れることに同意した」(Microsoft社)という。

 Microsoft社は2001年11月6日に,独占禁止法違反訴訟の原告側である米司法省および9州と和解の合意に達した。なお,この和解案について地方裁判所はまだ同意判決を下していない。

 「我が社は昨年11月以来,同意判決の主要な条件を満たすために数々の施策を実行してきた」(Microsoft社)。和解プログラムの修正により,数週間以内に実施する主な計画は以下の通り。

・上位20社のOEMを対象にデスクトップ・パソコン向けWindows OSをライセンス供与する新たなプログラムの条件を改定。ロイヤリティ契約を結んでいるOEMは,すでに2002年8月1日から新たな条件のもとで,1年間の契約更新を済ませているという。

・「Windows 2000 Professional Service Pack 3(SP3)」と「Windows XP Service Pack 1(SP1)」のRTM(製造向け出荷)版。コンピュータ・メーカーや消費者がWindowsのアイコン,ショートカット,メニュー・エントリを表示/非表示にしたり,競合ソフトウエアをデフォルト設定できる「Set Program Access and Defaults」と呼ぶ機能が組み込まれている。Windows 2000 Professional SP3は2002年8月1日にリリースしている。Windows XP SP1は数週間以内にリリースする。Windows XP SP1のSet Program Access and Defaults機能では,ユーザーは以下の4種類の設定から選ぶことができる。1)OEMの設定,2)Microsoft社の設定,3)Microsoft社の「Middleware Product」アクセスをすべて無効にして,他のプログラムをデフォルトに設定,4)メディア・プレーヤ,電子メールなど各種プログラムのソフトウエアを個々に設定。

・約300種類のWindows API(Application Programming Interface)の技術情報を「Microsoft Developer Network(MSDN)」で8月中に公開。開発者は追加利用料を払わずに,これらのAPIを使ってWindows向けアプリケーションを作成できる。

・約113件のMicrosoft社独自のプロトコルの技術情報を公開。サーバー・ベンダーにロイヤリティ・ベースでライセンス供与する。Windows搭載デスクトップ・パソコンとサーバーとの相互接続性向上を図る。プロトコルはタスク別に分類され,ファイル・サーバー,プリント・サーバー,メディア・ストリーミングといった各タスクに応じてライセンス供与される。

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