米Jon Peddie Research(JPR)が米国時間8月1日に,GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックス処理用のLSI)市場に関する調査結果を発表した。それによると,GPUの市場価格は低下を続けているという。x86ベースのプロセサを搭載するコンピュータの30%がGPUを二つ使っており,JPR社は「そのおかげで,小規模な企業が生き残っている」と指摘する。

 JPR社上級アナリストのLisa Epstein氏は,「パソコン業界が成熟し,デスクトップ・パソコンの普及が頭打ちになったことで,パソコン用GPU企業の統合が進んだ」と説明する。

 「現在8社が市場に残っているが,シェアを獲得できているのは2社だけ。この2社以外は,業界の過剰な購入,現物取引,積極的な価格設定,ニッチ市場対応で食いつないでいる」(同氏)

 2002年第1四半期には,ノート・パソコン用のディスプレイ・コントローラがGPU出荷量全体の19%を占め,2001年第4四半期の17%と2001年第1四半期の14%に比べ増加した。

 大手GPU企業のほとんどが成長を期待して,モバイル分野に進出している。「GPU企業が次第に消費者市場をターゲットにし,ノート・パソコンの平均小売価格引き下げに奮闘することで,グラフィックス機能を組み込んだチップセットがモバイル分野にも普及し始めた」(JPR社)

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・2002年第1四半期のパソコン市場全体におけるGPUの出荷数は4079万個。これは,2001年第4四半期の3878万個に比べ5.2%増,2001年第1四半期の3989万個に比べ2.3%増である。

・2002年第1四半期のGPU出荷数のうち,3306万個(81%)がデスクトップ・パソコン用で,773万個(19%)がノート・パソコン用。

・2002年第1四半期のGPU出荷個数の99%をGPU企業8社が占めている。

・2002年第1四半期は前年の落ち込みの反動で,市場は大きく拡大した。しかし,季節的な販売不振により,2002年第2四半期は混沌とした状態にある。米AMD,米Apple Computer,米Intel,米Hewlett-Packard,米IBMなどの企業は予想外の販売不振に直面し,業績予測を修正した。

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