米Forrester Researchが米国時間7月31日に,「CRM(顧客間系管理)市場の急速な成長は終了する」などとする調査結果を発表した。それによると,2002年にCRM市場の規模が5.4%縮小したが,その後2002年の428億ドル規模から年平均11.5%というゆっくりとしたペースで拡大し,2007年には738億ドルに達するという。

 またForrester Research社は,同期間中に市場の状況を変化させる要因として,クロスチャネル統合,ベンダーの垂直化,Webサービス,アプリケーション価格モデルの転換を挙げている。さらに,企業の注目する分野が,チャネル統合の技術的要素から,顧客に満足してもらうためのプロセス再設計に移ると予測する。

 このほかの主な調査結果は以下の通り。

・専門サービス企業とアウトソーシング会社がCRM市場の半分以上を占めている。コンサルティング企業の成長がCRMサービス分野を牽引し,2007年には419億ドル規模に達する。

・CRMアプリケーション分野は2002年に落ち込んだが,2003年には6.8%,2004年には14%の割合で拡大する。ただし,成長率は2007年までに12.5%に下がる。

・インターネット商取引ソフトウエアの減速の影響で,対顧客チャネル・アプリケーションは今後5年間,7.3%という最も低い年平均成長率で推移する。

・マーケティング自動化アプリケーションがCRM分野で最も成長率が高い。2002年から2004年にかけての成長率は14.5%程度だが,その後17%という割合で拡大し,2007年には9億2800万ドル規模に達する。

 なお同社によると,売上高10億ドル以上のGlobal 3500企業は,以下のような段階を経てCRM投資から利益を得るようになるという。

・第1段階:チャネル統合
 企業は現在,データの整理と同期,顧客に最良の取引チャネルを提供することに腐心している。現段階では,企業は共通のデータ・モデル構築,初期業務フローの定義,オンライン/オフライン・チャネルにまたがる顧客データの整理と同期を行う。

・第2段階:プロセス再設計
 変更した業務規約や処理フローに一致させるため,従業員や顧客の行動パターンを変更するという困難な作業に直面する。これを解決するには,顧客が一貫したサービスを受けられるよう組織内での報奨制度の調整,顧客の行動およびチャネル間コストの記録,チャネル移行に対するインセンティブの提供を行うことになる。

・第3段階:最適化作業の継続
 この段階に到達すると,製品と顧客の関係を常に更新し続けるものとして業務をみるようになる。優れた企業は,製品およびサービスの調整,分析に基づくマイクロセグメンテーション,長期的な視野に立った顧客とのやり取りの調整を行うことで,チャネルと顧客の関係を継続して整えていく。

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