米Microsoftが米国時間7月30日に,リアルタイム組み込みOS「Windows CE .NET」の新版「4.1」を発表した。IPv6や「Speech API(SAPI)5.0」に対応したほか,よく使われる形式のファイルを表示できるファイル・ビューアの添付,WWWブラウジングの性能向上などを図ったという。言語は,中国語(簡体字/繁体字),英語,フランス語,ドイツ語,日本語,韓国語に対応する。

 現在のところ,日立製作所,NECインフロンティア,米Samsung Information Systems America,米ViewSonicなどのOEMベンダーが,Microsoft社の「Joint Development Program」を利用して,Windows CE .NETの新版に対応する機器を開発中である。

 「『Emulation Edition』と公開しているソース・コードのダウンロード件数が12万5000件を超えており,Windows CE .NETが組み込みOS市場で高い関心を集めていることがわかる」(同社)

 新版の主な内容は以下の通り。

【OSの強化】
・IPv6:アドレス空間を128ビット長に拡大する。

・ファイル・ビューア:Microsoft Word,Microsoft PowerPoint,Microsoft Excel,Adobe Acrobat,GIF,BMP,JPG形式のファイルの表示が可能。

・SAPI 5.0:音声対応アプリケーションの開発に利用できる。

・「.NET Compact Framework」のベータ版の更新:.NET Compact Frameworkは,XML対応Webサービスをモバイル機器で利用可能にするためのスマート機器開発プラットフォームで,同社の.NET戦略をハンドヘルド機器に広げることができる。

【プラットフォーム構築ツール群の強化】
・機器エミュレータの改良:着信接続のエミュレーションに対応し,セットトップ・ボックスや家庭用ゲートウエイといった機器のテストが可能になる。

・公開ソース・コードの追加:「Windows CE Test Kit」技術など新たなコンポーネントのソース・コードを公開する。

・ソース・コード表示の改善:表示方法を改善し,特定機能に関係するソース・コードをIDE(統合開発環境)で表示できるようになった。

【性能向上】
・WWWブラウジング:「Microsoft Internet Explorer」の性能が,2002年1月にリリースした旧版に比べ15%改善している。「Windows CE 3.0」のInternet Explorerと比較すると60%の性能向上である。

・remote display protocol(RDP):RDPを使って作成したシン・クライアントの性能が,旧版に比べ20%向上している。

・「Windows Media」:Windows Mediaビデオの再生性能が,旧版に比べ20%向上している。

 なお,新版に対するIPv6機能の実装作業は,英国のランカスター大学の研究者などが行った。Microsoft社は「Windows Embedded Academic Program」の一環としてランカスター大学にWindows CE .NETのソース・コードを開示しており,IPv6対応は「両者による共同作業の成果」(同社)という。

 Windows CE .NETの新版は,認定Windows Embeddedディストリビュータ・パートナを通じて直ちに提供する。入手方法とライセンス情報については,Microsoft社のWWWサイトに掲載している。

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