米マイクロソフトが学術機関との協力体制拡充に向け顧問団を結成，「品質向上とセキュリティ強化を目指す」

和田英一

2002.07.30

　米Microsoftは学術機関と協力して品質向上やセキュリティ強化を目指す顧問団「Trustworthy Computing Academic Advisory Board」の結成を米国時間7月29日，明らかにした。Microsoft社チーフ・ソフトウエア・アーキテクトのBill Gates氏が同社の年次会「Microsoft Research Faculty Summit」で語ったもの。

　Gates氏は325人の大学研究員を前に，「学術機関との深いつながりを維持し，協力体制を敷くことにより，次世代コンピューティング技術を創造することができる」と述べた。

　Trustworthy Computing Academic Advisory Boardでは，Microsoft社がプライバシおよびセキュリティ・ポリシーの問題や製品に関するフィードバックを受け取るプロセスを一定化する。「世界中の学術機関でセキュリティの研究を行っている優れた科学者の意見に耳を傾ける」（Microsoft社）としている。

　そのほか，Microsoft社は学術機関との協力による成果や学術機関向けの取り組みについても説明した。

　Gates氏とメリーランド大学Human-Computer Interaction研究室ディレクタのBenjamin B. Bederson氏は，モバイル機器向けのカレンダー・ユーザー・インタフェース「DateLens」のデモを行った。DateLensは「.NET Compact Framework」を使用し，プログラム言語には「C#」を採用している。一つのソース・コードで，異なるプロセサや画像解像度を備えたPocket PC，Tablet PC，デスクトップ・パソコンなどさまざまな装置に共通のインタフェースを提供することを目的とする。なお，.NET Compact Frameworkは現在ベータ版が利用可能。

　英国ランカスター大学とMicrosoft社によるWindowsソース・コードの共同研究では，「Windows CE .NET」と「Windows .NET Server」をIPv6に対応させたという。Microsoft社はソース・コード開示プログラム「Shared Source Initiative」を通じて，顧客や提携企業，研究者，政府機関，学術機関にソース・コードの利用を提供している。

　また，遠隔教室との高い対話性実現を目指す「Conference Experience Project（ConferenceXP）」では，全米の大学や企業が参加する次世代インターネット研究プロジェクト「Internet2」の「Abilene」ネットワークを採用する。ブラウン大学，カーネギーメロン大学，ダートマス大学，マサチューセッツ工科大学，ライス大学，カリフォルニア大学バークレイ校，テキサス大学，ワシントン大学などがConferenceXPのプロジェクトに協力しているという。なお，Microsoft社はConferenceXP向けのバイナリ・コードを同日リリースした。