「2002年第2四半期における世界サーバー市場は，厳しい経済状況の影響で横ばいとなった。出荷台数は108万台で，前年同期と比べ0.5％しか増加していない」。米GartnerのDataquestが米国時間7月29日に，世界サーバー市場に関して調査した速報結果を発表した。
「企業は自社業務の行方がわからないため，ハイエンド・サーバーの購入，新しいプラットフォームへの移行，大口契約の締結などを先送りにしている。低価格システムの購入や，既存システムのアップグレードなど，すぐに投資回収を見込める設備投資を行う企業が多く，購入サイクルを引き延ばしている」と，Dataquest社Computing Platform Worldwideプログラム部門サーバー担当上級アナリストのShahin Naftchi氏は説明する。
世界市場における出荷台数ベースのシェアをみた場合，米Compaq Computerと合併した米Hewlett-Packard（HP）が30.5％を占め，1位に躍り出た。米Dell Computerは2位に順位を落としたものの，市場シェアを前年同期より2ポイント伸ばして18％獲得した。
■表1 2002年第2四半期における世界サーバー市場の出荷台数（速報値）
---------------------------------------------------------------------
2002年2Q 2002年2Q 2001年2Q 2001年2Q 伸び率
出荷台数 市場シェア 出荷台数 市場シェア
（％） （％） （％）
-------- ----------- -------------- ---------- ----------- ----------
HP 329,965 30.5 363,482 33.8 -9.2
Dell 194,776 18.0 172,536 16.0 12.9
IBM 156,906 14.5 161,649 15.0 -2.9
Sun
Microsystems 70,718 6.5 63,842 5.9 10.8
NEC 23,281 2.2 22,872 2.1 1.8
その他 306,482 28.3 292,504 27.2 4.5
合計 1,082,128 100.0 1,076,885 100.0 0.5
---------------------------------------------------------------------
記：HP社の数値はCompaq社との合算。
出典：Dataquest社（2002年7月）
米国市場は好調で，出荷台数は前年同期比約10％増の48万2647台。米国市場でもHP社とCompaq社の合併が市場シェアのランキングに大きな影響を及ぼし、首位はシェア26.8％のHP社。Dell社はシェア24％で2位に押しやられた。これに米IBM，米Sun Microsystems，米Gatewayが続く。
Dataquest社Servers Worldwideプログラム部門上級アナリストのJeffrey Hewitt氏は「合併からまだ間もないため，HP社には製品ラインの統合や社風の融合など，多くの課題が残されている」と説明した。また，「HP社が顧客基盤を維持するために，価格を下げたり企業との契約内容を見直すことも考えられる。そうなれば，ユーザーが恩恵を受ける可能性もある」と述べた。
■表2 2002年第2四半期における米国サーバー市場の出荷台数（速報値）
---------------------------------------------------------------------
2002年2Q 2002年2Q 2001年2Q 2001年2Q 伸び率
出荷台数 市場シェア 出荷台数 市場シェア
（％） （％） （％）
-------- ----------- -------------- ---------- ----------- ----------
HP 129,499 26.8 128,467 29.3 0.8
Dell 115,877 24.0 98,856 22.5 17.2
IBM 57,715 12.0 58,264 13.3 -0.9
Sun
Microsystems 36,319 7.5 29,160 6.6 24.6
Gateway 5,500 1.1 7,300 1.7 -24.7
その他 137,737 28.5 117,116 26.7 14.9
合計 482,647 100 439,163 100.0 9.9
---------------------------------------------------------------------
記：HP社の数値はCompaq社との合算。
出典：Dataquest社（2002年7月）
米国市場が2期連続で出荷台数を伸ばしていることから，市場の風向きが変わったとの憶測もなされている。しかし売上高の伸びが安定するまで，企業によるサーバーへの投資が再開されたとは言い切れない。
◎関連記事
■2002年Q1の世界サーバー出荷台数は0.6％の微増，米国は7.6％増で「予測より好調」
■「2002年Q2の世界サーバー市場は14.5％縮小，2003年以降に大きく回復」，米IDCの調査
■IDCが世界サーバー市場を調査・分析，「2002年Q1は再び縮小，しかしブレード・サーバーがけん引し，市場は数年で劇的に変化する」
■米HPがItanium 2搭載システムを発表，導入支援のソリューション／サービスも用意
■米サンがラックマウント型4ウエイ・サーバー「Sun Fire V480」を発表
■米デル，Xeon MP採用の大規模向けサーバーとブレード・サーバーを発表
■「標準規格に基づくサーバーやストレージの導入が進む」，米デルが米IDCの調査を引用
■米IBM，Xeon搭載ラックマウント・サーバー「eServer x345」と新接続技術「ACT」を発表
[発表資料へ]
