日立製作所,ドイツのIngentix,松下電器産業,米SanDisk,東芝の5社が,フラッシュ・メモリー向けのセキュリティ拡張仕様「Mobile Commerce(MC)Extension Standard」を公開した。5社がそれぞれ現地時間7月24日に明らかにしたもの。MC Extension Standardは,CompactFlashやSD Memory Cardなどで採用されている標準的なメモリー機能に,セキュリティ機能を組み込むための仕様である。

 「フラッシュ・カードが普及し,携帯電話機やPDA,パソコンなどさまざまな機器に使われるようになるにつれ,セキュリティ機能は欠かせないものになった」(Ingentix社CMOのJurgen Hammerschmitt氏)

 「5 Companies(5C)」(注:デジタルコンテンツの保護技術DTCPを策定した「5C」とは異なる)と呼ばれる5社によると,MC Extension Standardをフラッシュ・メモリーに組み込むことで,株取引,個人向け医療記録,音楽やビデオなどのエンターテインメント・コンテンツの購入に利用できるようになるという。

 「現実になりつつあるユビキタス・ネットワーク社会では,モバイルeコマース用の高度なセキュリティが必要になるだろう」(松下電器,マルチメディア・ソフトウエア技術担当常務取締役の櫛木好明氏)

 MC Extension Standardは,CompactFlash,SD Memory Card,MultiMediaCardといった一般的なフラッシュ・メモリー・カードへの組み込みが可能で,特定のカード標準団体やメーカーの定めるカード仕様(物理的な大きさ,フォーム・ファクタ,電気的仕様など)に依存しない。OSに対する依存性もないので,「多様な機器での利用が可能」(5社)である。

 5社は同仕様を公開し,カード・メーカーなどが製品に組み込めるようライセンス供与していくという。なお,最終的な仕様とライセンス規約文書は,2002年10月に公開する予定。

 なお5社が引用した米IDCの調査結果によると,2001年には世界で4500万枚のフラッシュ・メモリー・カードが販売され,市場規模は約9億2000億ドルあるという。IDCは,これが2006年には約9億2000万ドル規模にまで拡大するとみている。「(5Cが策定した)新しいセキュリティ機能には,メモリー・カード市場を拡大する可能性がある」(IDC)

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