「技術業界の長期的見通しは明るい」(米Microsoft会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトのBill Gates氏)――Gates氏は技術業界と同社の今後について楽観的な展望を同社の年次会で米国時間7月25日,明らかにした。

 Gates氏は,「たとえ経済状況が厳しく,先行き不透明な時期であっても,我が社は常に長期的なアプローチで事業を進めてきた。我が社の製品は優れた価値を提供し,我が社の技術ロードマップは数年先を見据えている」と述べ,2002会計年度の業績について触れた。Microsoft社によると,Windows XPは現在4600万本以上のライセンスを販売しているという。「これまでのWindowsのうち,最も急速に伸びているOSである」(Microsoft社)

 ちなみに同社が7月18日に発表した2002会計年度第4四半期(2002年4月~6月期)決算は,予測を上まわる好結果となった。

 また,Gates氏は今後数年にわたってMicrosoft社の中核事業を形成する三つのソフトウエアの“波”について説明した。主な内容は以下の通り。

・2003会計年度にリリース予定のWindows .NET Server,Windows Media 9 Series,Windows XP Media Center Edition,MSN 8,Windows XP Tablet PC Edition,Windows CE for Smart Displaysをはじめ,Visual Studio .NETのアップデート版,Xbox向けゲーム・タイトル,Xbox Liveなどからなる“波”。

・SQL Serverの次期版(開発コード名:「Yukon」)を中心とする“波”。Yukonでは,拡張性を向上するほか,.NET Enterprise Serverの将来版に対応した統合ストレージ・アーキテクチャの基盤を提供する。

・Windowsの次期版(開発コード名:Longhorn)を中心とする“波”。Longhornではアプリケーション,OS,Webサービスが密に連携し,データを保存,表示,操作する環境を提供する。

 これらの製品は,情報ワーカー,ITプロフェッショナル,ビジネス・プロセス,消費者の四分野を.NETに結び付け,「システムやアプリケーション間の障壁を取り除く」(Microsoft社)としている。

 また同氏は,今後1年で従業員を5000人増員し,2003会計年度の研究開発予算を前年度比20%増の52億ドルとすることを明らかにした。この予算額は総売上高の16%に相当する。

 Microsoft社は7月24日に,.NETの第2段階に対するビジョンを発表し,「人々の日常生活から仕事までを“つなげる”ことのできるソフトウエアに集中する」(Gates氏)との姿勢を明らかにしている。

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