「2002年は景気低迷の影響で,“売れ筋スキル”を持つITプロフェッショナルでさえ,過去数年間に比べ昇給率が減少している」。米Hewitt Associatesが米国時間7月24日に,ITプロフェッショナルの給与に関して調査した結果を発表した。

 調査は,米国企業164社を対象にアンケートを行い,需要の高いスキルをもつITプロフェッショナル4万人以上から回答を得たもの。

 過去12カ月間における基本給与の昇給率は4.0%で,2001年の7.5%から減少している。また,基本給にボーナスを加えた年収の昇給率は4.2%。2001年は6%以上だった。

 報酬をみた場合,回答者のうちボーナスが給付されたITプロフェッショナルは59%。ボーナスの金額は平均して基本給の9%だった。ボーナスは「各個人に給付」(38%)されたり,「部署に給付」(16%)されたりする場合が多い。またストックオプションなど,長期的な奨励金を給付されたITプロフェッショナルは23%である。2002年は,これら報酬の適正市場価格が基本給の29%と,1年前の82%から大幅に減少している。

 「これまで需要の高いITプロフェッショナルは,景気の影響をあまり受けないのが常だった。しかし,調査対象となった企業の半数以上で,採用の凍結,昇給率の削減,レイオフなどを,ITプロフェッショナルまで拡大して行っている」(Hewitt Associates社ITコンサルタントのLorraine Dunlap氏)

 過去12カ月における,ITおよびプロフェッショナルの離職率は5%。昨年の11%からほぼ半減している。企業は,これらプロフェッショナルが会社を辞める理由に,「他社のより高いポジションへ転職するため」(44%),「社内におけるキャリアの方向性が明確でない」(11%),「最新技術を学ぶことができない」(8%)などをあげている。

 一方,ITプロフェッショナルが会社にとどまる主な理由として「社風」をあげた企業は30%。また,優秀なプロフェッショナルを引きとめるには「最新技術を学ぶ機会を提供する」ことが重要だと考える企業は19%だった。

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