米Microsoftが米国時間7月24日に,「Microsoft .NET」に対するビジョンと第2段階のロード・マップなどを発表した。Microsoft社会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトのBill Gates氏が取材陣およびアナリストに語ったもの。

 「第2段階では,XMLによるWebサービスの相互運用性をベースにして開発を進める。そしてそのメリットを,個人,開発者,あらゆる規模の組織に及ぶよう広める」(同社)

 「業界の見解は,XMLベースのWebサービスによって多くの分野でブレイクスルーがもたらされることで一致している。.NETの第2段階では,人々の日常生活から仕事までを“つなげる”ことのできるソフトウエアに集中する」(Bill Gates氏)

 また,Microsoft社プラットフォーム・グループ担当副社長のJim Allchin氏は,同社は今後,“システムおよび組織間”,“信頼性”,“人々”,“知識”,“日常的な利用”という五つの領域に存在する障壁の排除に注力していくと説明する。

 各領域に対する同社の主な活動内容は以下の通り。

【システムおよび組織間の障壁】
 異なる企業やコンピュータ・システムのネットワーク接続を容易にしようと,Microsoft社はXMLベースのWebサービスの利用を進めてきた。そして,企業が独自の分散システムを安全かつ確実に接続するという要望に応えるため,XML Webサービスを用いる技術の紹介を行った。さらにAllchin氏は,「.NET Framework」をネイティブでサポートするサーバーOS「Windows .NET Server」の「製品候補版(RC1)」のリリースについて明らかにした。同OSは,.NETの第2段階における最初の製品の一つに相当するという。

【信頼性】
 “Trustworthy Computing(信頼できるコンピューティング)”の実現には,セキュリティ,プライバシ,信頼性を明確にすることが欠かせないとして,同社は,信頼できるハードウエア/ソフトウエアシステム構築を目的とする新しいアーキテクチャに関する取り組み「Palladium(守護神)」など,今後の活動について詳細に説明した。

【人々】
 電子メール,電話,インスタント・メッセージング,グループ・ウエアといったコミュニケーション・ツールは,それぞれのツールに合わせた使い方をする必要がある。同社の次世代コミュニケーションに対するビジョンでは,Webサービスを使って電子会議や協業作業を強化し,異なるコミュニケーション・ツールの統合/管理を行う情報エージェント技術を提供する。同社は開発コード名「Greenwich」というリアルタイム・コミュニケーション・コラボレーション(RTC)サーバー・ソフトウエアのデモンストレーションを行い,今後の方向性を示した。

【知識】
 電子情報の量が増えるにしたがい,情報の増加に追従するだけでなく,情報から知識や適切な行動を効率よく取り出すことが重要になってきた。同社は「SQL Server」の次版(開発コード名:「Yukon」)や「SQL Server Notifications Services for SQL Server 2000」を紹介し,情報の分析/可視化/共有/処理をより容易に行えるよう開発者やITプロフェッショナルを支援することを示した。

【日常的な利用】
 「今日非常に多くの人々がインターネット経由で音楽を楽しんだり,ダウンロードしたりする。また米国家庭の35%以上では,写真の撮影や保存にデジタル・カメラやパソコンを使っている。しかし,さまざまな機器を組み合わせて使う作業は,簡単ではない」(同社)。そこで同社はユーザーの使い勝手を向上させるために,「Windows XP Media Center Edition」などの新しい技術を提供するという。

◎関連記事
米マイクロソフトがサーバーOS「Windows .NET Server」のRC1をリリース
米MSの「Freestyle」,正式名称は「Windows XP Media Center Edition」に
コードネーム「Corona」の正式名称は「Windows Media 9 Series」,米Microsoftがベータ版のリリース予定とTechnical Summit開催予定を発表
米ニューズウィーク誌が,米MSのセキュリティ対策計画『Palladium』をスクープ
米マイクロソフトが次世代Webサービスのビジョンを発表
米国でCES開催,Microsoftが家庭向けの新技術「Freestyle」と「Mira」を披露
「派手な新機能より地道な問題解決を」-Bill Gates氏への開発者からのメッセージ-
米マイクロソフトの2002年4月~6月期決算は予測を上まわる好業績,「デスクトップ向けソフトが好調」

[発表資料へ]