米国時間7月21日に米連邦破産法11条の適用を申請した米WorldComは翌22日,7億5000万ドルのDIP(Debtor-in-Possession:占有債務者)融資について,ニューヨーク州(南部地区)の破産裁判所から承認を得た,と発表した。これによりWorldCom社は,従業員の給与や,医療・疾病手当など,各種給付金の支払いが行えるようになる。

 DIP融資の総額は約20億ドル。WorldCom社が,同法11条の適用を申請した21日の時点で,「すでに大手金融機関からの合意を取り付けている」と発表していた。今回破産裁判所が承認したのはそのうちの7億5000万ドル。この7億5000万ドル分については,既に米Citibank, N.A,米JP Morgan Chase Bank,米General Electric Capitalとの間で正式合意に達していた。残りの融資額については,9月4日に予定されている審問を経て,同裁判所の最終承認が行われるという。

 また同裁判所は同日,WorldCom社の再建に向けた最初の取り組みについても承認を行ったという。これにより,Worldcom社は「業務/財務の安定性回復に尽力しながら顧客,従業員,事業パートナー企業をサポートしていく」(同社)という。

 Worldcom社は,部門業績連動型株式(トラッキング・ストック)を発行しているMCI部門の配当支払を延期することも明らかにしていた。これについても同裁判所からの承認を得たという。

 「今日の裁判所の措置は,健全な財務体質を目指した再建のための堅実な第一歩となる。これによりWorldcom社は事業を継続していける。これまで同様,顧客にサービスを提供し,従業員や取引業者に安定した収入をもたらすことができる」(WorldCom社社長兼CEOのJohn Sidgmore氏)

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