WWWの3次元(3D)コンピュータ・グラフィックスの標準仕様作成を進めている「Web3D Consortium」が,WWWおよび放送向け3Dグラフィックス仕様「Extensible 3D(X3D)」の最終ドラフト版と実装要求(Call for Implementation)を公開した。公開に併せて,X3Dの評価や製品への実装について企業の協力を求めている。テキサス州サンアントニオで開催中のカンファレンスACM SIGGRAPH 2002で,Web3D Consortiumが米国時間7月23日に明らかにしたもの。

 X3Dは,小型軽量のWWWクライアントなどにおいて,3D動画表示を可能にする仕様。eXtensible Markup Language(XML),Document Object Model(DOM)など,ほかのWWW技術とのシームレスな運用も可能という。X3Dのプレーヤ(ビューア)はコンポーネントとして提供されるため,他のクライアント・プレーヤにアドオンとして組み込んで利用できる。また,他のアプリケーションからX3Dを利用できるようにするためのプロファイルも用意する。

 Web3D Consortiumによると,動画像符号標準化団体「Motion Picture Experts Group(MPEG)」が,X3DのInteractive ProfileをMPEG-4標準規格における軽量双方向3D画像のスタンダードとして承認したという。

 X3Dの策定には,米3Dlabs,ドイツblaxxun interactive,米Media Machines,US Naval Postgraduate School,Nexternet社,米OpenWorlds,アイルランドParallelGraphics,米Sun Microsystems,Yumetech社などが協力した。

 またWeb3D Consortiumは,JavaベースのX3Dツールキット「Xj3D」を提供する。Xj3DはGNU Lesser General Public License(LGPL)のもとで利用できる。

 さらにWeb3D Consortiumは,さまざまなプラットフォームや機器でXj3Dを使用できるようにするために,ワーキング・グループ「Java Rendering Working Group」を発足させた。同ワーキング・グループではSun Microsystems社,Yumetech社,Aniviza社が中心となり,Direct3DやOpenGLなどの一般的なグラフィックス・アプリケーション向けプログラマ・インタフェースにJava技術を適合させ,「X3Dをどのような環境にでも実装できるような基盤を提供する」(Web3D Consortium)

 Web3D Consortiumは同仕様を国際標準化機構(ISO:International Standards Organization)に提出する予定である。オープンでロイヤルティ・フリー(使用料免除)の国際的な標準仕様を目指す。X3Dの最終ドラフト版は,Web3D ConsortiumのWWWサイトから入手可能。X3D Software Development Kit(SDK)のCD-ROMは,SIGGRAPH 2002の会場,またはWWWサイトから入手できる。

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