米IBMが米国時間7月22日に,データベース・ソフトウエア「DB2 version 8」のベータ版の一般提供について発表した。自己管理機能を備えており,データベース管理に関する多くの作業を簡素化/自動化できるという。「多くのオープンな標準規格に対応しているので,多様な情報源からの情報を管理,統合,分析できるようになり,ROI(投資回収率)を向上できる」(IBM社)

 また,自動的に最新のシステム動作状況をデータベース管理者に通知する「Health Center」と呼ぶ機能も備える。データベースやアプリケーションで発生しつつある障害に関わる情報を知らせ,修復が行われた場合にはそれを報告する。メモリー不足,長すぎるクエリー処理時間,処理能力面の障害発生の際には,管理者が電子メール,ポケベル,PDA経由で警告を受け取り,WWWブラウザから調整作業を行うことができるという。この機能により,管理者はパフォーマンスに影響を与える潜在的な問題を迅速に発見/解決できる。そのため,「従来のシステムに比べ,管理できるシステムの数を5倍に増やせる」(同社)

 さらに「Configuration Advisor」機能で,データベース・システムの設定にかかる作業時間を短縮し,データベースの性能に影響を及ぼす設定値を手作業で調整せずに済むようにする。いくつか簡単な質問に答えるだけで自動設定できるため,これまで数日かかっていた作業が数分で済むという。

 「大部分の企業では,情報がさまざまな形式で,さまざまな場所に保存されている。多種多様なコンピュータ・システムも使っている。そのため,企業の年間IT予算の40%は,情報の統合作業に費やされている。DB2 version 8ではWebサービスとして情報の統合を可能にすることで,統合機能を強化している」(同社)

 DB2 version 8がSQLクエリーを一つ受け取ると,Webサービスからの情報を整理して提供するので,情報入手の際に専用のアプリケーションを使用する必要がなくなる。この機能により,プログラマは統合作業を迅速に実行でき,複数の企業/顧客/供給業者/従業員をインターネット経由で連結させる作業を自動的に進められるようになる。

 また,XML対応を強化しているので,DB2とXML情報の統合作業も容易になるという。XML文書をWWWブラウザに表示する際に必要となる変換作業を自動化でき,SQL言語と「DB2 XML Extender」機能を組み合わせることでXML文書の保存/取得が可能になる。

 DB2 version 8はLinuxおよびWindowsの64ビット環境に対応しており,性能と拡張性が強化されているという。

 なお,同ベータ版は2002年7月23日よりIBM社のWWWサイトでダウンロード可能となる。

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