米Microsoftが米国時間7月16日に,コード名で「Freestyle」と呼んでいた技術の正式名称を「Windows XP Media Center Edition」としたことを発表した。「パソコンを家庭の“メディア・センター”に変身させ,テレビ,PVR,音楽,ビデオ,DVD,写真といったエンターテインメントを集約し,リモコンで操作できるようにする」(Microsoft社)

 Freestyleは,2002年1月に同社が発表した「Windows XP」の拡張機能である。Windows XPや消費者家電製品のユーザー・インタフェース仕様に相当し,AV機器としてパソコンを利用可能にするもの。操作には,キーボードではなくリモコンを使えるようにしている。

 「パソコンは生産活動のための道具から,エンターテインメントやコミュニケーションなどさまざまな機能を持った機器に進化した」(Microsoft社Windows eHome部門担当副社長のMichael Toutonghi氏)

 Windows XP Media Center Editionにより,いろいろなエンターテインメントをパソコンにまとめられるという。「リモコンで離れたところから操作できるので,ソファーやいす,ベッド,台所のテーブルにいながら,テレビやDVDなどを楽しむことができる」(同社)

 「Windows Media Player」と「Windows Movie Maker」をベースにしているので,デジタル・メディアの編集,管理,保存といった操作ができる。そのほかの主な機能は以下の通り。

・テレビ/PVR:PVR機能を利用することで,放送中のテレビ番組の一時停止や巻き戻しが行える。続き物の番組を自動的に連続して録画する,録画予定を管理する,電子番組表を利用するといった操作も可能。

・音楽:アルバム,アーティスト,ジャンルなどで分類して,デジタル音楽を保管できる。オンスクリーン・キーボードとリモコンを使ってキーワードを入力することで,目的の楽曲を簡単に探し出せる。

・写真:写真アルバムをリモコンを使って表示できる。名前/日付順で写真を自動再生したり,特定のフォルダ内の写真をランダムに表示したりできる。

・ビデオ:保存してあるビデオをサムネール表示し,見たいシーンを画面いっぱいに拡大して再生できる。

 Windows XP Media Center Editionの製品化には,米Hewlett-Packard,NEC,韓国のSamsungが協力しているという。現在ベータ版のテストを行っており,米国,カナダ,韓国では,クリスマス・シーズンに間に合うようOEMに出荷する予定。日本では,2003年前半に利用可能とする。

 なお米メディアの報道(CNET News.com)によると,Microsoft社Windows Media Centerマーケティング・マネージャのJodie Cadiuex氏が「Windows XP Media Center Edition対応パソコンの価格は1000ドルから2000ドルの範囲になるだろう」と述べている。

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