米Evans Dataは米国時間7月15日に,「中国におけるソフトウエア開発市場は極めて流動的であり,他に類をみない潜在性を秘めている」などとする調査結果を発表した。

 調査は,中国のソフトウエア開発者700人以上を対象に,2002年5月に実施したもの。

 中国では,開発者の大多数が米MicrosoftのWindows 9x向けアプリケーションを開発しているが,今後1年間にLinux向けアプリケーションを開発する予定の回答者は3分の2以上にのぼった。一方,北米で同様の調査を行ったところ,Linuxアプリケーションを今後1年間に開発すると回答した開発者は,全体の5分の2に過ぎなかった。

 中国で使用されている開発言語はC++やDelphiなど,やや旧式のものが大半を占めている。しかし,Javaを使用する開発者も全体の約60%を占めており,EJB(Enterprise JavaBeans) 2.0仕様のメッセージ駆動型Beanを使用する予定の回答者も約60%に達した。中国の開発者が使用するツールやセキュリティ対策は,北米の開発者のそれとは,明らかに傾向が異なっている。

 中国の開発者はWebサービスに高い関心を寄せているが,C#,Visual Basic,ColdFusionなど,ベンダー独自のWebサービス向け言語を利用することには消極的だ。しかし,開発環境として人気が高いのはWindowsである。

 「中国はIT予算の伸び率が最も高く,今後,市場の競争が激化する。さまざまなベンダーに市場機会を提供することになるが,北米で人気のある製品が中国で大きな市場シェアを獲得するとは限らない」(Evans Data社アナリストのEsther Schindler氏)

 その他の主な調査結果は次の通り。

・「自社でセキュリティの侵害が発生した」とする中国の開発者は全体の46.5%にのぼった。最も多いのは「ウイルスによる被害」で,次いで「データベースへの侵入」が挙げられた。一方北米では,「セキュリティの侵害が発生した」と回答した開発者は全体の20%以下だった。

・中国の開発者がWWWサイトを開発するにあたって直面している問題は,1位が「開発/管理時間の不足」で,2位が「自動化」だった。北米の開発者が最も頭を悩ませている「パーソナライゼーション」を挙げた中国の開発者は,10%に満たなかった。

・北米と中国では,開発者のプログラミング経験年数に大きな開きがある。北米の開発者はプログラミング平均年数が16年以上であるのに対して,中国の開発者は4年だった。

◎関連記事
米ウエスタンデジタルが中国で顧客サービスを提供,「急成長する中国PC市場を重視」
米オラクルが中国市場への取り組みを拡充,各種ソフトウエアのローカライゼーションを発表
米マイクロソフトが中国でソフト開発のジョイント・ベンチャー設立
どうする,ニッポンIT――ここまで来てしまったソフト開発の中国シフト
台湾に迫る中国のEDAソフト市場,2005年に現在の3倍の規模に成長
2002年のIT市場は緩やかに回復へ,中国のWTO加盟やセキュリティ製品/サービスがけん引
「中国,香港,台湾が“未開の金鉱”,人材派遣市場は5年で100倍に」と米IDC
「迫る中国のWTO加盟,だが中国市場への参入にはリスクも」と米ガートナー

[発表資料へ]