米IBMは自己管理/自己修復可能なハードウエアおよびソフトウエアを採用したネットワーク対応ストレージ・アプライアンス「TotalStorage Network Attached Storage(NAS)100」を米国時間7月10日に発表した。「導入,維持,管理が簡単に行える堅牢な製品を求めている中規模企業用のストレージ製品」(IBM社)

 NAS 100は,俗に“ピザ・ボックス型”と呼ばれる高さ1U(約44mm)の薄いきょう体を採用している。記憶容量は480Gバイト。ストレージ容量が不足した場合には,最大5台までNAS 100を積み重ねるか,ラックを使って容量を追加できる。

 「中企業や大企業の支店など,ITサポートをほとんどまたは全く受けることのできない顧客を対象に設計した製品」(同社)。電子メールのアーカイブ,サーバーの集約,ストレージのバックアップ,テープへのバックアップ,契約文書などの書類のアーカイブといった用途を想定している。

 導入作業は30分未満で済むという。また,動作中にハード・ディスク装置を交換できるので,ダウン・タイムを短縮できる。

 さらにNAS 100は,自己管理/保護/修復可能なシステムを開発するプロジェクト「Project eLiza」で開発されたソフトウエア技術を採用している。たとえば,故障の兆候を検出すると,自動的にほかのコンピュータに応援を求めたり,必要な部品を注文したりできるという。「顧客はシステム管理作業から開放され,本来の業務に集中できるようになる」(同社)

 そのほかの主な特徴は以下の通り。

・「Director 3.1 Agent」や「Tivoli Storage Manager」などのストレージ管理ソフトウエアによる管理に対応する。

・米Microsoftの「Multiple Device Manager」と「Windows Terminal Services」をあらかじめ組み込んでおり,遠隔管理を行うなど,ネットワーク上のNAS装置を効率的に管理できる。

・Simple Network Management Protocol(SNMP)やCommon Information Model(CIM)といった業界標準プロトコルに対応しているため,既存/将来のネットワーク対応ストレージ環境への統合が容易。

 NAS 100は,2002年8月にIBM社および同社のビジネス・パートナを通じて利用できる。価格は4420ドル。IBM Global Servicesは,同製品の計画/導入に向けたさまざまなサービスを提供する予定という。

 また同社は同日,ミッドレンジのストレージ製品「FAStT」用の2Gビット・ファイバ・チャネル(FC)・ディスク装置「FAStT EXP700 Storage Expansion Unit」についても明らかにした。「2Gビットの転送速度をシステム全体で利用可能となり,EXP700と同じ設置面積で40%ストレージ容量を増やすことができる」(同社)

 さらに同社は今後,「eServer xSeries」および米Intel製マイクロプロセサを搭載するサーバー用に,2GビットFCチャネルPCI-Xホスト・バス・アダプタ(バス・クロックは133MHz)も提供する。

◎関連記事
米IBMが振動防止技術を採用した新型サーバー用ハード・ディスクを発表,「スループットが15%向上」
米IBMが従業員削減を含む事業再編計画を発表---HDD事業は20億5000万ドルで日立へ売却
ストレージ業界のベンダー団体がSANソリューションの普及を目的としたプログラム「OSMR」を開始
米IBM,米ベリタス,HDSなどストレージ大手がSANによる相互運用性を検証
「SAN機器の世界市場,2007年には10倍以上の840億ドル規模へ」,米調査
NAS(ネットワーク接続型ストレージ)市場---大手メーカーの新規参入相次ぐ,価格競争がますます激化
「2005年には外付けストレージの80%がネットワーク化」と米ガートナー
「SANかNASか」は,付加価値という名の迷惑な論争

[発表資料へ]