米Mentor Graphicsは米国時間7月10日に,HDL(ハードウエア記述言語)設計フロー・ソフトウエアの新版「FPGA Advantage 5.3」を発表した。FPGA(Field-Programmable Gate Array)の作成/シミュレーション/合成作業の管理用である。

 「当社は,作成/デバッグ/シミュレーション/合成作業に対応した総合的なFPGA設計フローを提供できる,唯一のEDA(Electonic Design Automation)ツール・ベンダーだ」(Mentor Graphics社マーケティングおよびHDL設計,FPGAソリューション担当ディレクタのValerie Rachko氏)

 新版には「Interface-Based Design(IBD)」機能の強化や高度なデバッグ機能など,新たな設計管理機能が追加されており,「数100万ゲート規模のFPGAの設計作業を簡素化できる」(同社)

 FPGA Advantage 5.3のIBDエディタを使うと,複雑な内部接続の問題に対処できるという。IBDでは,比較的単純な表形式で内部接続構造の表示が可能。設計者はこの表を使って信号接続を迅速に指定し,VHDL(VHSIC HDL)やVerilogといった形式で構造記述を自動生成できる。さらに,IBDの表形式データは設計上の制限や合成時の属性指定に使用できるので,設計フローの下流フェーズでも利用可能である。

 新版のデバッグ機能には,インタラクティブなシミュレーション・デバッグ中にテキスト・ファイルのビジュアル化を行う機能が追加された。

 「HDLソース・コードのビジュアル化や表形式データにより,HDLシミュレーションを強化し,設計検証作業の生産性を向上できる」(同社)

 さらにFPGA Advantage 5.3は,米Alteraの「MegaWizard Verilog」プラグイン・マネージャと「LogicLock」にも対応する。MegaWizardプラグイン・マネージャを使うと,ソース・コードを変更せずにVHDLおよびVerilogのいずれに対しても拡大率を変更できる。またLogicLockにより,「Altera Quartus II」設計環境内での階層的なインクリメンタル設計が可能となる。

 米Xilinxの「CORE Generator」用VHDLおよびVerilogにも対応しており,Xilinx社のLSI用の設計フロー内に,大規模なIP(再利用可能な機能モジュール)を直接組み込むことができる。

 そのほかの主な強化点は以下の通り。

・階層レベルの追加/削除機能
・複数のインスタンスを作成可能なフレーム
・信号スライス用の信号スタブ
・クロス・トレース用データフロー・ウィンドウ
・Microsoft Windows XP対応

 FPGA Advantage 5.3は,Mentor Graphics社の再販ネットワークを通じ直ちに利用可能とする。FPGA設計者1名向けの価格は1万2000ドルから。ワークグループ用は4万5000ドルから。詳細については,同社のWebサイトに掲載している。

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