米IDCが米国時間7月9日に,世界のモバイル/無線プロフェッショナル・サービス市場に関する調査結果を発表した。同市場の売上高は2001年に,前年比138.3%増の30億ドルに達した。同市場は2006年まで年平均58.5%で成長し,約304億ドル規模に拡大するという。

 IDCはモバイル/無線プロフェッショナル・サービスを,「既存または新しいインフラ上にある企業向けアプリケーションを,モバイルもしくは無線環境に拡張するために必要となるサービス」と定義している。例として,コンサルティング,実装,運用,サポート,研修などのサービスがあげられる。

 「無線は新しい分野ではないが,依然としてに成長を続けている。同分野の技術は絶えず進化しており,市場の成熟からはほど遠い」(IDC,Wireless and eCommerce Implementation Services調査部門担当ディレクタのSophie Mayo氏)。また同氏は「無線分野の“生態系”は,デバイス,通信事業者,システム・インテグレータ,モバイル・ミドルウエア,アプリケーション・プロバイダ,企業,モバイル社員,消費者などによって構成されている。市場では,各要素がお互いの成功を左右する密接な関係にあり,相互依存度が非常に高い」とつけ加えた。

 地域別にみると,成長の速度が最も速いのは米大陸(北米と中南米)である。2006年まで年平均73%で成長し,133億ドル規模に達する見通しだ。アジア太平洋地域も市場規模を拡大しつつある。同地域で支出が最も多いのは日本,次いでオーストラリアである。

 日本はサービスとデバイスの両分野において,最先端の技術を導入している。このため,銀行取引,小売り,スポーツなどの消費者分野がその恩恵を受ける。しかし,「市場拡大の恩恵を最も享受するのは,企業分野を対象としたベンダーになる」(IDC)という。モバイル・コマース(mコマース)を模索する企業が増加しているからだ。

 またIDCは2001年の売上高をもとに,世界のモバイル/無線プロフェッショナル・サービス市場で上位を占める企業を発表した。米IBMのIBM Global Servicesが他社を大きく引き離して首位に立った。以下,フランスのCap Gemini Ernst & Young,富士通,米PwC Consulting,米KPMG Consulting,米EDSと続いている。

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