米WorldComは米国時間6月28日に,同社の社長兼CEOのJohn Sidgmore氏とBert Roberts会長が,George W. Bush米大統領あてに書簡を送ったことを明らかにした。同社の粉飾決算が発覚し,27日にBush大統領が「憤りと懸念を感じる」と発言したことに応えたものである。

 書簡のなかで両氏はWorldCom社が今後,捜査当局に積極的に協力していく意向であること,同社非中核事業を今後売却し,さらに中核事業の見直しを行うことなどを明らかにした。

 書簡の内容は以下の通り。

 親愛なる大統領 様

 昨日,大統領はWorldCom社が過去に起こした会計上の不正行為に対して,憤りと懸念を表明されました。

 WorldCom社の現在の経営陣も大統領と同様に驚きと憤りを感じており,私どもがこの問題を速やかに証券取引委員会(SEC)と一般に公開したのも,こうした理由からです。私どもは自らでこの一連の不正行為を発見し,迅速な行動をとりました。私はその勇気とプロフェッショナリズムを誇りに思っています。

 この精神のもと私どもは,大統領および関係当局に協力し,この重大な問題の捜査に取り組んでまいります。この書簡は私どものこの意向を確認するものであります。

 私どもはこれにより,責任を果たし,同時に以下の事項について断固たる行動をとることで,模範を示したいと考えております。

・SEC,Enforcement Division(法執行局)の元局長であるWilliam McLucas氏に依頼し,厳格な自主調査を実施します。

・CFOをすでに解雇しており,また監査役の辞任もすでに受け入れております。今後の捜査状況に応じ,さらなる措置をとっていく意向です。

・現在,追加信用枠を確保すべく,各銀行と綿密な協議を行っております。これにより我々の資金調達能力を維持してまいります。

・非中核事業を売却し,10億ドル超の資金を調達します。また中核事業の見直しを行い,経費を10億ドル削減します。

 私どもは,WorldCom社の価値と従業員,顧客,融資機関,サプライヤ,株主の長期的維持に努めてまいります。私どもはこれらの個人・団体,また一般大衆に対する大きな責任感を感じております。

 約7週間前,私はWorldCom社のCEO職を引き受け,会長のBert Robertsとともに,その信用回復に取り組むことを約束しました。我々はこのような試練が待ち受けているとは想像もしませんでした。しかし,問題に真正面から取り組みそれらを解決していくことが,信用回復につながると我々は理解しています。

 今後もさらに積極的に取り組み,問題解決を図ってまいります。これこそが信用回復のためのたった一つの方法と考えております。

John Sidgmore
President and CEO
Bert Roberts
Chairman of the Board

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