英Juniper Researchは現地時間6月25日に,無線LANの世界市場に関する調査結果を発表した。2007年には,公共の場所で無線LANにアクセスできるホットスポット・サービスの売上高が約97億ドルに達する。“最後の1マイル”を提供する無線LAN接続サービスは約55億ドルを創出する。
「802.11をはじめとする無線LAN技術によって,“最後の1マイル”問題が解消されたほか,ホットスポットも普及している。無線LAN技術は,広帯域接続とモバイル・インターネット分野をけん引する重要な技術となった」(Juniper Research社主任アナリストのTony Crabtree氏)
無線LANの魅力は,なんと言っても簡単明快なことだ。「ライセンスは不要だし,全国規模のインフラを構築する必要もない。また技術的なリスクも皆無に等しい。必要な機器は比較的低価格なうえ,標準仕様を採用しているので導入も簡単だ」と,Crabtree氏は指摘する。
ホットスポットの数は急増している。英British Telecommunications(BT)は4000カ所,米Boingo Wirelessは5000カ所,ソフトバンク・グループは日本マクドナルドの店舗に4000カ所など,ホットスポットの設置を発表する企業が相次いでいる。今後も米国がホットスポット市場をリードするが,西欧,東アジア,中国も市場として大きな潜在性を秘めている。
■ 地域別にみたホットスポット市場の規模(単位:100万ドル) 2002 2005 2007 北米 $219 $1,200 $2,584 南米 $2 $198 $688 西欧 $37 $928 $2,750 東アジア $17 $663 $1,738 中国 $1 $320 $1,540 その他 $2 $81 $390 合計 $278 $3,390 $9,690 出典:Juniper Research社
現在,さまざまな接続サービスを提供する無線インターネット・サービス・プロバイダ(WISP)が乱立している。Juniper Research社は,無線干渉のほか送受信用アンテナの直線距離の限界といった課題はあるが,同市場の成長は確実とみる。
■ 地域別にみた無線LAN接続サービス市場の規模(単位:100万ドル) 2002 2005 2007 北米 $201 $1,052 $1,867 南米 $3 $122 $383 西欧 $5 $444 $1,237 東アジア $4 $250 $575 中国 $1 $238 $871 その他 $2 $95 $562 合計 $216 $2,201 $5,495 出典:Juniper Research社
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