米Newsweek誌は米国時間6月23日に,「米Microsoftが新たなセキュリティ技術を開発中」とする報道記事の内容を明らかにした。Microsoft社は現在,「Palladium」(守護神)と名付けた長期計画を推し進めているという。同誌はその詳細を7月1日号(6月24日発売)に掲載するとしている。
Microsoft社はこの長期計画で,現在のコンピュータが抱える各種問題,すなわちプライバシ/セキュリティ/知的財産の保護といった問題の解決を目指しているという。
Newsweek誌が同日明らかにした内容は以下の通り。
この計画では,ユーザーが自ら個人情報を制御できるようにする新たなサービス/アプリケーションを提供する。個人情報は,それがユーザーのコンピュータから放たれたあとも制御が可能になる。システムにはこのための特別なセキュリティ・チップを用いるが,それらはすでに米Intelと米AMD(Advanced Microdevices)が開発・製造することを同意している。
またPalladiumで提供されるシステムでは,出所/作成者といった基準でデータを制御できるようにする機能も盛り込む。こうした基準により,ユーザー自らが「何を自分のコンピュータ上で動作させる」を決定できるようになる。
さらに他人が正規のユーザーになり代わってコンピュータを使用できないようにする仕組み,映画会社やレコード会社が安全にコンテンツを配信できるようにする仕組み,などもも提供する。これにはDRM(digital rights management)技術を用いる。
Newsweek誌ではMicrosoft社の新システムについて次のように報告している。
「Microsoft社はこのシステムのことをセキュリティの“万能薬”とは説明していない。しかしMicrosoft社は,個人/企業情報の制御能力を劇的に向上させるべく開発を行っている」(Newsweek誌)
Newsweek誌ではこのシステムを「かつて想像だにしなかったサービスを提供すべく開発されているシステム」と表現する。Microsoft社は,プライバシ,商取引,エンタテインメントにおける,今後数十年先のプラットフォームを目指しているのだという。
またMicrosoft社プロダクト・マネジャのMario Juarez氏は,同誌の取材に応えて次のように語っている。「これは各種のセキュリティ問題を解決するだけにとどまらない。人々がコンピュータとともに暮らし,仕事をしていくための可能性の領域を広げる」(同氏)
Palladiumではこのほか以下のセキュリティ対策を目指しているという。
・情報を“封鎖”して攻撃者からの侵入を許さない
・ウイルスやワームを遮断する
・スパム・メール対策
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