米In-Stat/MDRが米国時間6月17日に,超広帯域無線(UWB:Ultra Wideband)対応の民生用通信機器に関する調査結果を発表した。それによると,初めてのUWB製品は2003年1月のConsumer Electronics Showで発表されることになり,製品の出荷は2003年のクリスマスごろになるという。家庭向け無線市場ではIEEE 802.11xの製品が2006年まで優勢だが,そのなかでUWB製品のシェアが次第に拡大していく,と同社は予測する。

 UWBは,極めて小さな出力の信号を広い,周波数帯域に分散させて転送する無線通信技術。広い帯域に微弱な電波パルスを分散するので,従来の無線技術よりも干渉の影響を小さくできる。UWBはもともと軍事目的で開発された。米連邦通信委員会(FCC)は,米商務省,米商務省電気通信情報局とともにUWBの安全性と干渉の問題を検討し,最終的にUWBの民生利用を認める最終規定を採択した

 「Wi-Fi(IEEE 802.11b)はデータ転送に適しているが,家庭でストリーミング・オーディオ/ビデオに利用しようとした場合,IEEE 802.11xの対応能力には多くの疑問がある。UWBはIEEE 802.11xの弱点の多くを解決できる長所を持っているので,非常に魅力的だ」(In-Stat/MDR社アナリストのGemma Paulo氏)

 そのほかの調査結果は以下の通り。

・2003年に出荷される家庭向けUWB製品の数はごく少数だが,その後出荷台数は増加を続ける。ただし2006年までは,USB製品の出荷台数シェアが家庭向け無線市場全体の5%を超えることはない。

・当初販売されるUWB製品は,Personal Area Network(PAN)向けで,通信速度は100Mbps,通信可能距離は10mほど。

・UWBを手がける米XtremeSpectrumは,OEMへのUWB用LSI出荷を2002年後半に行う見込みという。最初のUWB製品は,消費者家電品やセットトップ・ボックスのメーカーが発売するとみる。

・XtremeSpectrum社のほかには,米Time Domainや米General Atomicsなどが家庭向けネットワーク市場への参入を計画している。

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