米NVIDIAはグラフィクス・プログラミング用の高級言語「Cg」を米国時間6月13日,発表した。GPU(Graphics Processing Unit:グラフィクス処理用のLSI)上で動作する“シェダー”と呼ばれる画像処理プログラムを作成するためのもの。NVIDIA社では,「“グラフィクス用のC言語”に相当し,コンテンツ開発者は映画画質のリアルタイム・グラフィクスを簡単かつ迅速に作れるようになる」と説明している。

 「Cgはすでに,ゲーム開発者からデジタル・コンテンツ・クリエータまで,業界で多くの支持を集めている。ますます高度になるグラフィクス機能の利用を加速するだろう。そして,C/C++言語がCPUに行ったのと同じ役割を,CgがGPUに対して果たす」(NVIDIA社CEOのJen Hsun Huang氏)

 Cgの開発は,米Microsoftと共同で行った。「新たなレベルの抽象化が可能で,グラフィクス・ハードウエアを直接プログラミングする必要がなくなる。文法はC言語に似ており,リアルタイム・シェダーや視覚効果を短時間で開発できる」(NVIDIA社)。Cgは,Microsoft社のマルチメディア用API「DirectX 9.0」と互換性がある。

 これまでのグラフィクス・プログラミングについて,米Jon Peddie Research社長のJon Peddie氏は次のように説明する。「最近まで,映画のような画像を作るには,アセンブリ言語でプログラミングする必要があった。このやり方を知っている人は限られており,非常に時間のかかる作業だ。NVIDIA社のCgとCg用コンパイラを使うと,シェダーの作成,共有,再利用をこれまでより迅速に行えるようになる。シェダーによって生成されるコンテンツも,より豊かな表現力を持ち,画像のリアリティが向上する」(同氏)

 またNVIDIA社は同日,Cg用のツール・キット「Cg Toolkit Beta 1.0」についても発表した。その内容は以下の通り。

・「NVIDIA Cg Compiler Beta 1.0」:Cg言語用コンパイラ
・「NVIDIA Cg Browser」:Cgシェダー用の試作/視覚化環境
・「Cg Standard Library」:よく利用する演算で使うための関数群
・Cgシェダー:Cgで作成したシェダーのサンプル

 Cg Toolkitは,6月13日にロンドンで開幕するカンファレンス,The Gathering 2の出席者に配布する。また同ツール・キットは,同社のWebサイトで入手可能となっている。

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[発表資料(Cgの発表)]
[発表資料(Cg Toolkitの発表)]