イタリア・フランス合弁のSTMicroelectronicsが,オランダのアムステルダムで6月12日に開幕するBluetooth Congressで,MP3オーディオの再生が可能なBluetooth対応無線ヘッドセットをデモンストレーションする。同社がスイスのジュネーブで現地時間6月12日に明らかにしたもの。

 このヘッドセットは,Bluetooth対応PDAから受信したストリーミングMP3オーディオをデコードし,リアルタイムに再生する。さらに,Bluetooth対応GSM携帯電話機と組み合わせた利用も想定している。電話の着信時にMP3オーディオの再生を中断し,通話が終了すると再生を再開する。

 同ヘッドセットのBluetoothのハードウエア部分には,STMicroelectronics社の無線フロントエンド「Rainbow STw5288」とデジタル・ベースバンド「BlueSilk STw2410」を使用している。STw2410のBluetoothのデジタル処理部は,Ericsson Licensing Technology社からライセンス供給を受けて開発した。

 またMP3を処理するため,STMicroelectronics社のMP3デコーダ「STA015」とステレオ・コーデック「STw5094」を内蔵する。STw2410に組み込んだソフトウエア ホスト スタックは米Widcommと共同開発したもので,オーディオ/ビデオ・プロファイルのアルファ・リリースに対応している。

 STMicroelectronics社は,MP3Pro,AAC,SBCなど対応するオーディオ・フォーマットを増やしていく計画である。

 STMicroelectronics社は,低い中間周波数を用いるアーキテクチャと高度な組み込み技術を組み合わせることで,実装時に外部部品の数を必要最小限にできると説明している。「BiCMOS6(バイポーラ相補性金属酸化膜シリコン)とシリコン・ゲルマニウム(SiGe)プロセス技術により,低消費電力でビット誤り率(BER)の低い機器を経済的かつコンパクトに実現できた」(同社)。この特徴は,携帯電話機やPDAといった電池で動作する機器に最適という。

 なお,STMicroelectronics社によれば,同ヘッドセットで使用した無線フロントエンドのRainbowは,すでにBluetooth認定機関の認証を受けている。

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