米Palm傘下の「Palm OS」事業である米PalmSourceは米国時間6月10日,「Palm OS 5」の最終版をライセンシや開発者に向けて出荷したことを明らかにした。

 「Palm Poweredコンピューティングを新時代へ先導するものとなる。(Palm OS 5は)革新的なモバイル製品の市場投入を加速するとともに,既存のソフトウエア/ハードウエアとの互換性も保つ」(PalmSource社)

 Palm OS 5.0は,ARMアーキテクチャのマイクロ・コントローラを搭載するPDAに向けたOSである。「ライセンシにとっては,ARM 7から米Intel,米Motorola,米TI(Texas Instruments)の高性能ARMプロセサと,幅広い選択が可能になり,市場を効果的に拡大できる」(同社)

 なおPalmSource社は,ソフトウエアの互換性認定プログラム「PalmSource Compatibility Program」のもと,開発者にPalm OSとの互換性を保証するロゴ「Palm Powered Compatible」の使用を許可する。68KとARMコアに対応するソフトウエア製品を対象とする。

 同社が発表したPalm OS 5.0の主な特徴は以下の通りである。

・ユーザ・インタフェースの強化:アイコンやフォントを拡張し,高解像度のディスプレイに対応した。これにより文字を読みやすくした。また「カラー・テーマ」機能により,ユーザーはデバイスの見栄えなどをカスタマイズできる。

・セキュリティ:米RSA SecurityのRC4アルゴリズムをベースとした128ビット長の暗号化機能を備える。加えて,SSL(Secure Sockets Layer)をサポートする。これにより安全な電子メール/WWW閲覧,オンライン・トランザクションを可能にする。

・マルチメディア:高解像度ディスプレイへの対応とともに,CD品質のデジタル・オーディオ録音/再生機能を備えており,これによりリッチなマルチメディア・エクスペリエンスを提供する。

・無線:従来のWANやBluetoothに加え,無線LAN「802.11b」をサポートする。

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