「従業員にPDAを持たせる企業は,デバイスのTCO(総所有コスト)を理解しなければならない」。米Gartner社が米国時間6月10日に,調査結果を発表した。それによると,PDAの総所有コストは1ユーザーにつき年間3000ドルに達するという。

 無線デバイスには,無線に対応していないモバイル・デバイスと比べてさらにハードウエア,ソフトウエア,サービス・コストが増える。ソフトウエアとサービス・コストには幅があるが,平均して月およそ50ドルになる。TCOが1392ドルの無線モデムを追加すれば,ハードウエア,サポート,追加サービス料金で何間4392ドルに達する。

 「デバイスの機能性が高くなれば,コストも高くなる。処理能力が高くなれば,より多くのアプリケーションを搭載でき,それに伴いサポートと運転費用が高くなる。一般的なモバイル・デバイスのコストに加え,無線接続には付随コストも発生する」(同社のリサーチ・ディレクタのPhil Redman氏)

 無線機能を搭載するPDAのTCOの内訳は,60%がハードウエア,ソフトウエア,ネットワーク・サービスなどの資金,技術サービス,サポートアプリケーション管理,配備など運用費が30%,評価,実装,トレーニングなどの管理費用が10%となっている。

 無線WANのTCOではサービス・コストがもっとも影響があるため,ネットワーク・サービス・プロバイダを統一してサービスをまとめ,契約に関してプロバイダと積極的に交渉することが全体のTCOを削減するためのベスト・プラクティスになるという。

 同社によれば,ROI(投資回収率)を理解するためには,TBO(total benefit of ownership)を算出しなければならない。モバイル技術のTBOを判断するためには, 生産性の向上,それによる収益の増加,継続的なコミュニケーションによる正確性の向上,効率性の改善によるコストの低下,不必要なプロセス,電子フォーマットにより必要なくなった印刷費用などの基本的なコストなどを考慮する必要がある。

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