「米国消費者の約70%がオンライン・プライバシに関して不安を抱いているにもかかわらず,WWWサイトで個人情報を入力する前にプライバシ・ポリシーを読んでいるユーザーはわずか40%である」,などとする調査結果を,米Jupiter Media Metrixが米国時間6月3日に発表した。

 ちなみに,「WWWサイトのプライバシ・ポリシーは分かりやすい」と回答したオンライン・ユーザーは30%だけだった。

 「企業はセキュリティやプライバシに関する消費者の教育にお金をかけるべきだ。また,オンライン・プライバシを面倒な義務と考えずに,戦略的マーケティングとして取り組むことが重要だ」(Jupiter社)

 100ドル程度の懸賞と引き換えに,オンライン・ショッピング・サイトに個人情報を提供しても良いとするオンライン・ユーザーは82%。個人情報の中でも,提供することに抵抗がないのは「電子メール・アドレス」(61%)や氏名(49%)。「年収」(18%)や「電話番号」(19%)は最も提供したくない情報だという。

 Jupiter社によると,ほとんどの消費者がちょっとした特典のために個人情報を提供してしまうのは,自身の情報がどのような目的に使用されるか明確に理解していないためだという。

 Jupiter社アナリストのRob Leathern氏は,「適切なプライバシ・ポリシーを実行している企業でさえ,消費者が個人情報の管理や安全性に関して間違った認識を持っていることに困り果ててしまうだろう。企業は,情報提供によって取得できる恩恵を消費者が明確に認識できるよう取り組むべきである」と指摘する。

 Jupiter社は,消費者のプライバシやセキュリティに対する懸念により,オンライン事業が2006年に245億ドルの売り上げを失うと予測する。2001年の55億ドルと比べて大幅に損失が拡大する。ただし,消費者の懸念が解消されれば,2006年のオンライン収入は約24%増加する。

 「適切なオンライン・プライバシ・プラクティスを持たない企業は,今後数年でオンライン販売に打撃を受けるだけでなく,オフラインにもマイナスの影響が現れるだろう」(Jupiter社)

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