米Sun Microsystemsが米国時間6月6日に,企業向けの分散リソース管理(DRM)ソフトウエアの新版「Sun Grid Engine, Enterprise Edition 5.3」をリリースした。

 Sun Grid Engine, Enterprise Edition 5.3ではポリシー管理機能を採用し,利用可能な演算リソースを複数のグループで容易に共有できるという。大規模になったグリッドやリソース制御作業の増大に,容易に対応できるようにした。これにより,「企業の必要性に応じて演算リソースの再配分をグリッドの使用中に行える」(同社)。

 Sun社会長兼CEOのScott McNealy氏次のように説明する。「当社は,“ネットワークはコンピュータ”という考えの具現化に取り組み続けている。当社のグリッド技術はN1アーキテクチャの主要コンポーネントになるもので,仮想的なデータ・センターを作り出して顧客のROIを最大化するというビジョンに欠かせない」(同氏)

 Sun Grid Engine, Enterprise Edition 5.3は,同日より利用可能となる。ソフトウエアのライセンス料は対応CPU数によって,2万ドル(CPU数最大50個まで)から8万ドル(同2000個まで)となる。

 なおSun社は,米Walker Informationのグリッド・コンピューティングに関する調査結果を引用して発表している。その内容は以下の通り。

・毎週70個弱のグリッドが新たに作られ,Grid Engineを使用しているグリッドの割合はこの1年間で約20%増加した。

・各グリッドの規模は同期間に9%増大した。

・Grid Engineを使ったグリッドのプラットフォームは,50%が「Solaris」,25%がLinux,25%が混在環境。

 Sun社は来週,カナダのトロントで開催されるBIO 2002,ルイジアナ州ニューオリンズで開催されるDesign Automation Conferenceにおいて,Grid Engine, Enterprise Editionとグリッド・コンピューティング・アーキテクチャのデモンストレーションを予定している。

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