ドイツのSAP AGはモバイル向けビジネス・プラットフォーム「SAP Mobile Engine」を現地時間5月23日,発表した。オープンな標準規格をベースにしており,社内および社外のユーザーが使用している機器や接続環境に関係なく企業アプリケーションを利用できるようにする。

 「mySAP Mobile Business」の主要インフラであるSAP Mobile Engineにより,企業はモバイル・アプリケーションおよび技術を介して,既存のシステムを効率よく利用することが可能。「新たなユーザー・コミュニティをコラボラティブなビジネス・プロセスに取り込むこともできる」(SAP社)

 SAP Mobile Engineはハンドヘルド機器や既存のノート・パソコンを視野に入れている。Javaをはじめ,XML,SOAPなどをベースにする。CRM,人事,SCM,ビジネス・インテリジェンス,製品ライフサイクル管理用のアプリケーションのほか,サービス・プロバイダ,科学/薬学,公益事業などに特化したアプリケーションのモバイル利用に対応した機能を提供する。

 例えば,「mySAP(TM) Customer Relationship Management(mySAP CRM)」のハンドヘルド用サービス・アプリケーションをSAP Mobile Engineに取り入れると,サービス企業の社員は現場でサービス履歴を更新したり,支出や部品使用状況のデータを取得したり,在庫にない部品を発注することができる。

 SAP Mobile Engineを「Mobile Enterprise Portal」に組み込むことにより,SAP社以外の環境で利用しているビジネス・アプリケーションもすぐにモバイル対応にすることが可能。

 米META Group副社長のJack Gold氏は,「企業の50%以上が今後3~4年でERP,CRM,SFAといったミッションクリティカルなアプリケーションをモバイル機器などに対応させるとみる。ほとんどの企業がこうしたモバイル対応機能を既存のソリューション・プロバイダから導入したいと考えている。このような機能を提供していないアプリケーション・プロバイダは市場競争で不利な立場に陥るだろう」と述べた。

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