米TeleChoiceが米国時間5月15日に,北米におけるDSL (Digital Subscriber Line)市場を調査した結果を発表した。2002年第1四半期末時点における稼働回線数は622万5584回線で,そのうち米国が488万4827回線,カナダが134万756回線だった。

 米国では稼働回線数が前期より12%増加した。加入者数は前期と比べ53万8287人伸びており,新規加入者が2期連続で50万人を越えた。

 事業者別でみた場合,2002年第1四半期の市場シェアは既存地域通信事業者(ILEC)が89%,競合地域通信事業者(CLEC)および長距離電話会社(IXC)が11%を占めた。ILECは前期よりシェアを1ポイント拡大した。

 大手ILECのなかでは,米BellSouthの稼働回線数の伸び率が最も高く,前期より17%増。ILEC全体での伸び率は13%だった。

 CLECおよびIXCの稼働回線数の伸び率は,わずか5%。2001年第3四半期にCLECの米Rhythms NetConnectionsが破産申請を行い,加入者数が一時減少したことや,CLEC市場の66%を占める米Covad Communicationsの伸び率がわずか2%だったことなどが,要因として考えられる。

 カナダ市場は伸び率において米国を凌ぎ,2002年第1四半期は稼働回線数が17%増加,19万5217人の新規加入者を獲得した。

 北米におけるDSL市場は「ゆっくりだが着実に成長している」(TeleChoice社,DSL担当アナリストの Pat Hurley氏)。しかし,同社社長のClaudia Bacco氏は「米国のILECが,前期比で稼働回線数を13%伸ばしたことは大きいが,この程度の伸び率ではケーブル・モデムとの差は縮まらない。家庭の広帯域ユーザーでケーブル・モデム利用者が占める割合は,DSLの2倍以上である。CATV統括運営会社(MSO)と競合するには,新規加入者の獲得,サービスのマーケティング,特別価格のプロモーション,付加価値サービスの早急な導入などに注力することが重要だ。」と指摘した。

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