米Kabira Technologiesが米国時間5月8日に,「米国の大手無線事業者による“売上高の漏れ”の合計は年間で推定70億ドルを越える」などとする調査結果を発表した。

 サード・パーティの調査コンサルティング会社によると,提供するサービスの複雑さや売上高追跡のために使用しているプロセスおよび技術などによって異なるが, 無線ネットワーク事業者は通常売上高の5~12%を回収できていないという。Kabira社がこの数値をもとに米国の無線事業者32社を比較分析した結果,これら事業者による損失の合計は,売上高全体の約10%を占めていることがわかった。

 「現在,モバイル・サービス・プロバイダの多くは損失を計上しているが,回収し損ねている売上高をすくい上げれば利益を上げることができる。インフラに新たな投資をすることなく売上高を伸ばせるので,その見返りは非常に大きい」(Kabira社社長兼CEOのPaul Sutton氏)

 Kabira社は売上高の漏れを「顧客に提供したサービスのうち,料金を請求できていない潜在的な売上高」と定義づけている。無線事業者が単一の技術を利用したネットワークを用い,簡単明瞭なサービス・プランを提供する場合,この売上高の漏れは小さい。しかし事業者が,複数ベンダーのネットワーク材料を組み合わせたり,請求システムに複数の課金プランを利用したり,Wi-Fi,GPRS,1xRTTやその他の無線IPサービスやメッセージングを含む複合的なサービス・プランを提供すると,複雑さが増すのに比例して売上高の漏れは大きくなる。

 Kabira社は売上高の漏れにつながる要因として,(1)データの収集と集計に関する不備,(2)構文解析の不備,(3)エラー・ログのオーバーラン,(4)動的IPなどへの対応不良,(5)マッチングの時間切れ,(6)請求システムの不備,(7)イベント優先度の識別不良,を挙げている。なおこれらの要因は,改善することによって売り上げ増加に転じることが可能だという。

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