米EMCが米国時間4月29日に,ソフトウエア駆動型のオンライン・ストレージ・アーキテクチャ「EMC Centera」を発表した。

 「業界で初めてコンテンツ・ベースのアドレス指定ソフトウエアを採用し,管理の簡易化,コンテンツの一意性,コスト削減と拡張性を実現した」(EMC社)

 電子文書や,デジタル・レントゲン写真,デジタルMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)のデータ,映画,電子メール,放送用コンテンツなど,データの内容が変わることがない“固定コンテンツ”の長期保存に特化したストレージ・ソリューションという。

 EMC Centeraを利用することで,企業や政府機関はコンテンツの保存/管理/アクセスの複雑性を増やすことなく,ストレージ容量を増大できるという。「(容量を)テラ・バイトからペタ・バイト級に拡張し,自社の情報資産を長期間有効活用することができる」(EMC社)

 NAS(network-attached storage),SAN(storage-area networks),DAS(direct-attached storage),テープ装置,光ディスク装置などで利用されている従来のロケーション・ベースの管理方法は,頻繁に変わるデータ向けに最適化されている。しかしこの方法では情報が物理的な位置によって管理されているため,容量の増加に伴い管理も複雑になるという。

 これに対しEMC Centeraは,固定コンテンツ向けに特別に設計された,コンテンツ・ベースのアドレス指定ソフトウエア「CentraStar」を利用する。同ソフトウエアは,保存されているすべてのオブジェクトのユニーク・アドレスをコンテンツ・データをもとに計算する。

 このユニーク・アドレスは,アプリケーションがオブジェクトを引き出す際の“引換券”の役割を果たすため,アプリケーションがストレージ環境やオブジェクトの物理的位置を認識する必要がないのだという。

 「これにより,膨大な数のコンテンツへのアクセス/管理が容易になり,コンテンツ・データの整合性や認証を正確に確認できる。またCenteraを統合したアプリケーションの開発も容易になる」とEMC社ではする。

 さらにEMC Centeraは,自己管理機能,自動構成機能,自動修復機能,バックグラウンド保守・アップグレード機能,コンテンツ複製機能を備えているため,大規模な導入にも対応できるという。

 EMC Centeraは直ちに利用可能となる。価格は,ハードウエアが10万1500ドルから,ソフトウエアは10万3200ドルからとなる。例えば使用可能領域が5テラ・バイトのシステム構成の場合は,20万4700ドルとなる。

 なおカリフォルニア大学バークレー校の調査によると,情報は毎年倍増しており,新たに増える電子データの半分以上は固定コンテンツが占めているという。EMC社の社長兼CEOのJoe Tucci氏はこのEMC Centeraについて,「情報化社会の需要を予見したソリューションである」と説明する。「氾濫する情報の効率的な管理方法を模索するうちに,固定コンテンツの保存には独自のアプローチが必要なことがわかった」(同氏)

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