米IBMが米国時間4月29日に,中小企業向けサーバー「eServer iSeries 890(i890)」を発表した。動作周波数1.3GHzの「POWER4」マイクロ・プロセサを採用し,「メインフレーム・クラスの技術を使用している」(IBM社)

 i890でIBM社のOS「OS/400 Version 5 Release 2(V5R2)」を動作させると,同社のサーバー「i840」に比べ2倍近く高い性能を示すという。Linux,OS/400,Windows,UNIX用アプリケーションを実行でき,最大32個のOS/400/Linuxの動的論理パーティションに対応する。iSeries用のLinuxカーネルは,64ビット・アプリケーション用に拡張してある。

 動的パーティションを使用することで,サーバーを再起動せず別のパーティションで動作するアプリケーションの動作レベルを強化できる。「管理しやすい1台のサーバーに複数の作業を集約できるので,経費を削減し,管理作業を簡素化できる」(IBM社)

 さらにIBM社は将来,iSeriesのパーティションで同社のOS「AIX」を動作可能にする計画もあるとしている。

 またIBM社は,コンピューティング性能の一時的な需要増加に対処する機能,「Capacity Upgrade on Demand」についても明らかにした。これにより,急に需要が増加した場合でも,コンピューティング性能を直ちに追加できるという。この機能は,i830の4ウエイ以上の機種が標準機能として備える。「たとえば,4ウエイのi830を使用している顧客は,必要に応じてプロセサを一つずつ追加し,5ウエイ,6ウエイへと拡張できる」(同社)

 IBM社は,同社のサーバー開発プロジェクト「Project eLiza」の技術を利用した「Enterprise Identity Mapping(EIM)」を導入した。これにより,複数のサーバーで動作しているアプリケーションにアクセスする際のユーザー認証処理を簡素化し,セキュリティ管理にかかるコストを削減できるという。

 OS/400 V5R2のそのほかの機能は以下の通り。

・スイッチド・ディスク・クラスタリング:計画的なサーバーのメンテナンスを行うことで,運用停止時間を削減する。

・「IBM DB2 Universal Database for iSeries」:1台のサーバーで複数のデータベースを運用可能。最新のSQL標準と,Java Transaction APIに対応する。

・Java 2 Micro Editionドライバ:無線対応WWWを利用して,携帯電話機やPDAで堅牢かつ安全なアプリケーションの利用が可能になる。

・WWWキャッシュ/Secure Socketアクセラレータ:安全なWWWページの配信を高速化する。

 OS/400 V5R2版のi890の出荷開始は,2002年6月14日の予定。世界での一般販売は,2002年8月から行う。なお,Capacity Upgrade on Demandオプションは,直ちに利用可能とする。

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