米マイクロソフトが「.NET Compact Framework」のベータ版をリリース，モバイル機器にもWebサービスを

早坂利之

2002.04.18

　米Microsoftが，.NET戦略をハンドヘルド機器に広げる「Microsoft .NET Compact Framework」のベータ版をリリースする。Microsoft社が英国時間4月17日にMicrosoft Mobility Developer Conferenceの会場で発表したもの。.NET Compact Frameworkは，XML対応Webサービスをモバイル機器で利用可能にするためのモバイル・アプリケーション・プラットフォーム技術である。「Pocket PC 2000」「Pocket PC 2002」「Windows CE .NET」に対応したデバイスに対応する。

　.NET Compact Frameworkは.NET Frameworkのサブセットで，共通のプログラミング・モデルとアプリケーション開発ツールを使用する。そのため，「.NET開発者は，習得した技術をモバイル・アプリケーション構築に流用できる」（Microsoft社）。

　「.NET Compact Frameworkは，数100万人の『Visual Studio』開発者が持つ技術を，そのままモバイル機器開発へ転用可能とする」（Microsoft社モバイル機器グループ担当副社長のJuha Christensen氏）

　Microsoft社はさらに，「Visual Studio .NET」用統合開発環境（IDE）を拡張する「Smart Device Extensions（SDE）for Visual Studio .NET」のベータ版についても明らかにした。SDEは，同IDEで.NET Compact Frameworkを利用可能とするための拡張モジュール。「新たなプロジェクトのタイプ，機器エミュレータ対応，遠隔デバッグ対応，自動配信機能などにより，モバイル・アプリケーションの開発を簡素化する」（同社）。Visual Studio .NETを透過的に拡張するので，一つのIDEだけでモバイル・アプリケーションの開発も行えるようになる。

　.NET Compact Frameworkは，「Microsoft SQL Server 2000 Windows CE Edition version 2.0」「Microsoft Mobile Internet Toolkit（MMIT）」などの技術とともに利用する。SQL Server CEは小規模なリレーショナル・データベースで，「モバイル機器から企業データ管理機能を利用するためのアプリケーションを迅速に開発できる」（同社）。またMMITを使うことで，WWWブラウザ機能を持つモバイル機器からプロジェクト管理アプリケーションへのアクセスが可能になる。

　また同社は同日，「Mobile2Market」と呼ぶ取り組みについても明らかにした。「Windows Powered Pocket PC」および「Smartphone 2002」ソフトウエア・プラットフォームに向け，ネットワーク対応無線アプリケーションの認定作業と市場投入を容易にするという。「モバイル通信事業者，独立系ソフトウエア・ベンダー（ISV），リスト掲載／認定パートナを支援する」（同社）

　ISV向けのPocket PC 2002認定プログラムは2002年4月17日から開始する。Smartphone 2002認定プログラムの開始は，Smartphone 2002対応製品の発売に合わせる。顧客が認定済みアプリケーションを入手するのは，2002年末になる見込み。Mobile2Marketの詳細については，Microsoft社のWWWサイトに掲載している。