米Intergraphと米Intelが,チップの特許権を巡ってアラバマ州バーミンガムの連邦地裁で争っている特許侵害訴訟で和解に達した。Intel社が米国時間4月15日に明らかにしたもの。Intel社は和解金として3億ドルをIntergraph社に支払う。Intel社は和解金の約半額を,2002年第1四半期の決算で計上する。

 また,両社はクロス・ライセンス契約に署名し,Intergraph社は訴訟対象外の一部の特許所有権をIntel社に譲渡する。

 また,テキサス州マーシャルの連邦地裁では,予定通り裁判が進められる。両社はすでに判決に応じて損害賠償を支払うことで合意しているという。損害賠償は,Intel社が勝訴した場合は支払う必要はないが,Intergraph社の訴えが認められた場合は1億5000万ドルにのぼる。また控訴裁でIntergraph社が主張が認められた場合は最大2億5000万ドルに達する見込みだ。

 なお,その他の和解条件に関しては明らかにしていない。

 この裁判は1997年11月17日にIntergraph社がIntel社を不法行為,特許侵害,独禁法違反の3点で提訴したもの。Intel社は,RISCチップ「Clipper」の開発元Fairchild Semiconductor社をIntergraph社とともに買収した米National Semiconductor(NS)とクロスライセンス契約を1987年に結んでいた。このクロスライセンス契約をもとにIntel社は,「Clipperの特許もNS社との契約に含まれている」と主張した。また,Intergraph社はClipperを開発したFairchild社Advanced Processor部門を買収している。

 1999年6月にアラバマ州北地区連邦地裁のEdwin Nelson判事は,「Intel社とNS社のクロスライセンス契約には子会社は含まれておらず,Intel社はFairchild社の合意がなければClipperの特許ライセンスを得られない」として,「Intel社は特許を使う権利をもたない」との判断を示した。

 しかし,同年10月の裁判では一転して「特許権を管理しているのは米National Semiconductor(NS)であり,Intel社は1976年にNS社とのクロスライセンス契約によって特許の使用権を得た。よって,Intel社はIntergraph社の特許を使う権利をもつ」(同判事)として,判断が完全に覆った格好となっていた。

 この判決を受けてIntergraph社が控訴裁に上訴し,2001年3月の裁判ではアラバマ州の連邦控訴裁判所が「Clipperの特許については,全ての権利をIntergraph社が独占的に所有する。Intel社はこれを使用する権利を持たない」と判断,再び逆転していた。

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