米In-Stat/MDRは米国時間4月3日に,無線LANチップの世界市場に関する調査結果を発表した。世界経済の減速にもかかわらず,2001年における無線LANチップの販売個数は前年比で23%以上増加し,800万個を超えたという。

 また今年の無線LANチップ市場を無線LAN機器の販売状況から判断すると,2001年末と比較して急伸しており,すでに好調な兆しをみせている。2002年は前年比75%増の1400万個に達する見通しだ。

 In-Stat/MDR社上級アナリストのAllen Nogee氏は,「無線LANチップの成長は始まったばかりだ」と説明する。「無線LANは長い間,特化した分野での利用に限定されていた。しかし802.11aや802.11gといった新規格が,企業向け市場はもちろん,家庭向け市場にも導入されつつある。今後無線LAN市場は急速に勢いをつけるだろう」(同氏)

 2002年は,無線LANチップセットの大半が企業向けとなるが,最も成長が目覚ましいのは家庭向け市場となる。家庭ユーザーが,コンピュータの接続といった従来の用途以外にも,無線LAN機器を利用し始めるようになるからだ。例として,アジアで人気を集めつつある無線ビデオ・パッドなどがあげられる。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・2001年における無線LANチップセットの出荷個数は増加したが,価格の下落により,売上高は前年比4%減の2億1690万ドルとなった。しかし2002年は,売上高が前年比約50%増の3億2450万ドルに達する見通しだ。

・現在,無線LANチップセットは,企業向けおよび家庭向け市場のいずれでも,802.11b規格のチップセットが大半を占めている。しかしこの状況は,より高速な802.11aや802.11g技術の登場に伴い急速に変わる。いずれの規格も最大54Mビット/秒,通常でもその半分の伝送速度を実現できる。

・家庭向け市場における802.11a規格のチップセットの販売個数は2006年に1300万個以上に達する見通しである。

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