「企業のERP(Enterprise Resource Planning)アップグレードの費用は,平均150万ドルにのぼる」などとする調査結果を,米AMR Researchが米国時間3月27日に発表した。企業のERPアップグレードについて,かかったコスト,目的,直面した問題などを調査した。

 調査は,2500人以上の従業員を擁し,売上高が10億ドルを超える企業150社を対象に行ったもの。

 企業の85%はERPのアップグレードによって,ポータル・サイト,ビジネス・インテリジェンス,人的資源,顧客管理,コラボレーション環境の向上,新しいアーキテクチャや技術への対応といった機能性を追加したいと考えている。

 その他の主な調査結果は次の通り。

  • ERPをアップグレードして新たな機能性を追加した企業は約50%。そのうち26%は,特定の機能性だけをアップグレードするという段階的な導入を行った。しかしこの方法は,企画,導入,データ移行の各工程に対して継続的な労力が必要となるため,コスト的に高額になる
  • アップグレードを実施するうえで最も困難だった段階として,企業は28%が「データの変換/移行」を挙げた。また,苦労した段階として「テスト」を挙げた企業は29%に達した
  • アップグレード費用の削減に成功した企業はわずか13%。アップグレード・プロジェクトの平均的な費用の内訳は「人件費」が42%,「新たなソフトウエア技術」が25%,「新たなハードウエア」が31%だった。なおERPのアップグレードに伴い,ハードウエアを新たに購入した企業は82%に達した

 「企業はERPシステムを成功に不可欠な戦略的資産とみなすべきである」とAMR Research社は指摘する。「アップグレードを開始する前に,目標と目標達成の測定基準を明確にする必要がある。アップグレードを1度限りの大事業としてではなく,継続的なプロジェクトとして取り組むことが重要だ」(AMR Research社)

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