米Motorolaが米国時間3月11日に,VPNや無線ネットワーク向けのセキュリティ・プロセサ「MPC184」と「MPC185」を発表した。「暗号化データのトラフィック増加によって発生するボトルネックを解消する」(Motorola社)としている

 MPC184とMPC185は,Motorola社の「PowerQUICC」プロセサやPowerPC ISA準拠のプロセサとの組み合わせで能力を発揮するという。鍵アルゴリズムの処理速度はMPC185が300Mbps(3DES-HMAC-SHA-1),MPC184は80Mbps。暗号技術の標準Advanced Encryption Standard(AES)の鍵長をサポートする。エッジ・ルータ,DSLAM,広帯域接続装置,電子商取引用サーバー,無線基地局,WAPゲートウエイなどに向ける。Motorola社のプロセサ・バスにネイティブで対応する。

 また,特有のチャネル優先機能を備え,パケット化したトラフィックをサイズに応じて処理する。これにより,IP対応のClass of Service(CoS)を可能にする。

 MPC185では第3世代(3G)無線システムの暗号化標準規格「Kasumi」をサポートし,MPC184はWired Equivalency Protocol(WEP)に対応する。

 パッケージはMPC184が「252 MAPBGA」(21mm×21mm),MPC185が「256 MAPBGA」(17mm×17mm)。MPC185は2002年第2四半期に,MPC184は2002年第3四半期にサンプル出荷を開始する。1万個ロット時の価格はMPC185が25ドル,MPC184が15ドル。

 「我が社の統合通信プロセサ・ファミリと今回発表したセキュリティ・プロセサの機能を組み合わせることにより,顧客はセキュリティ対応のネットワーク装置を簡単に設計し,開発できる」(Motorola社Networking and Computing Systems Group戦略マーケティング担当ディレクタThomas Fehr氏)

 ちなみに米GartnerのDataquestによると,2005年の暗号化プロセサ市場は,2001年の約3倍に拡大するという。full-duplex時の転送速度は,銅線ネットワークの場合が最大45Mbps,光ネットワークの場合が最大155Mbpsになる見通しである。

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